■ 山梨新英研11月例会(2)

2008年11月
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 11月15日(土)甲府西高を会場に秋季教育研究会(兼11月例会)が行われました。外国語分科会では共同研究者に海木幸登先生(富山県立呉羽高等学校教頭)をお招きし「英語授業づくりの理論・実践そして技術」という実践報告をしていただきました。

実践報告「英語授業づくりの理論・実践そして技術」

 まず、海木先生は自身の授業作りのスタンスを明確に示します。「国民教育としての英語」が授業作りの根幹にあり、「価値ある教材」を、「効果的なシステム」で生徒に提示するところから始まります。音と文法と語彙を土台に、音読学習法を中心に据えた方法で生徒に切り込みます。

 参加者全員が生徒になり「海木ワールド」がスタートします。まずは「英語でしゃべらナイト方式」で音読の練習から始まります。全員が起立し、単語の練習からはじまり、ペアになり、3人班になりとテンポ良く進みます。「発音記号に注目」「声を出して」「自分のペースで」「読めなければムニュムニュ」「横ペア、縦ペアで」「2分位時間制限をして」と指示も明快です。

 そして次は「同時通訳方式」の練習。「同時通訳方式」とは、目に入ってきた(聞こえてきた)順番に、訳していく(訳さなくても理解すればいい)というもの。ノートに和訳を書いたりせず、意味(内容)を理解することに力を注ぐことを目指します。そして、ここからが本番。同時通訳式プリントを使ってのペアワーク。ジャンケンをして勝った方が英語を読み、負けた方は同時通訳をする。次は縦ペアになってもう一回。黙ってノートに書いているのとは格段に効果が違う、と海木先生。我々も生徒になり、ジャンケンをし一喜一憂しながら「同時通訳」に取り組みます。すらすらと難なくこなすペア、たどたどしく進んでいくペアと、実際の教室さながらのように賑やかに授業が進んでいきます。さらにこれでは終わらないのが「海木ワールド」。「むずかしめバージョン」と称し、テキストを見ないで同時通訳をするというものへ、そしてさらに「ダッシュ攻撃」へと進んでいきます。英文を読みながら途中で、空白のところを作って「ダッシュ」と叫ぶ、もう一人がそこに入る語を答える、というもの。すでに脳が軟化しかけている私にとってはなかなか頭が働かず苦戦。これで訓練していくと、頭の中に英語と意味が同時に浮かぶようになるようです。

 最後に生徒の「音読スピーチ」の紹介がありました。自作の原稿は先生の指導で「構造を意識」し、論理的に構成されて完成されます。その原稿を自宅でMD等に録音したものを教室で再生し、仲間に聞かせるというものです。いくつかを紹介していただきましたが、BGMを利用したり、効果音を入れたり、自分の歌声を交えたりと工夫が凝らさせ、生き生きと取り組んでいる姿が浮かんできました。海木先生の授業の目標は授業で学んだことを「PUBLIC COMMUNICATION(PUBLIC SPEAKING)」につなげることです。言葉の学習を通じて、世界とつながることを目指します。

(連絡先:石山裕生)
(2009年3月1日)