■ 山梨新英研5月例会

2008年5月
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 5月10日に'08年度山梨新英研総会・研究会が行われ、11名の先生方が参加しました。

田中先生の実践報告

 レポーターには埼玉から田中渡先生(鴻巣女子高校)を招きいろいろな角度から実践報告をしていただき参加者一同大いに学ぶことが出来ました。
 田中先生には当日の早朝5時台の電車で埼玉を出発するという強行軍で山梨新英研のために時間を割いていただきました。故郷山梨の新緑の山々を目にしながら、過ぎ去りし数々の想いが列車で向かう先生の脳裏に去来したようです。
 資料も含め分厚い3部のレポートが配られ、すべてに目を通すだけでも一日かかってしまうほどの「熱き思い」のこもった実践報告がスタートしました。「生徒につけさせたい『学力』と私の授業ー総合的な取り組みと協同学習の実践からー」と題されたメインの報告書には「毎日ノート」「協同学習」「スピーチ」「心の手紙」等の実践について実践の視点や手順、生徒の作品等がびっしりと書き込まれています。また、別冊の教科通信「THE PLUM TIMES」には英詩の紹介、名言名句、自己表現作品、先生の生徒への思いがぎっしりと詰まっています。

  田中先生が生徒につけさせたい「学力」とは、
  1. 学ぶ喜びを知り、幸せになるために自ら学ぶ力を身につけること、
  2. 仲間と共に学ぶ楽しさを知り、仲間と力を合わせる力を身につけること、
  3. 他者を思いやる優しい心を身につけること、
  4. 万人が幸せになれるよりよい世界を想像しそれを創造する力を身につけること、
という、壮大なものです。英語を学ぶことが他者へと、世界へとつながらなければ意味はない、とまで言っているのかもしれません。

 すべての実践が印象的でしたが、中でも私が一番感心した、というよりも驚いてしまったのは「心の手紙」の実践で、先生が例として生徒に示したものです。先生は奥さんに対して手紙を書きます。
 To my dearest wife

 Thank you very much for all the house cleaning, laundrey, making delicious dinner, and everything.
 Thanks to you, I can concentrate all my energy on pursuing my career as an English teacher.
 You support me when I'm in trouble and help me when I'm sick.
 You even check my appearance before I leave our house so that I won't look uglier.
 Though I fear you sometimes, I enjoy talking with you over dinner drinking some alcohol together sometimes.
 Though you are not young, you look beautiful when you make up.
 I'll take care of myself, live long and continue working so that you won't be left a widow to live lonely for a long time.

From a husband who is still in love with you.
 これには本当に驚いてしまいましたが、ここまで言い切れる田中先生の奥様への思いはほんとうに深いものなんだなあと納得させられもしました。
 とにかくこの一例からもわかるように、先生の数々の実践は全編をヒューマニズムが貫き、報告を聞きながら参加者全員が「田中渡ワールド」に包み込まれてしまいました。田中先生の実践には本当に感服でした。
 参加した若手の先生方3名も積極的に発言し、実りある楽しい会になりました。

(連絡先:石山裕生)
(2008年10月17日)