■ 東京新英研春の特別研究会

2007年12月
<< '03年'04年'05年'06年'07年'08年'09年'10年'11年'12年 >>
2月3月4月5月6月11月12月
 12月例会にはこの春から教壇に立つ大学生の参加者が2名もあり、ベテランと若者が交流しながら学ぶという充実した例会になりました。参加者11名。

◎報告


「五行詩の由来、造らせ方」

神津毅夫さん(元新英研東京支部副支部長・"Creative English " 著者 )
◆5行詩との出会い
 1975年に女性の会から奨学金をもらって、アメリカの小学校で実習をしてきた。そこでたまたまその先生が授業参観で、生徒に5行詩を書かせていた。これはいい、これなら、大体品詞がわかれば書けるだろうと、帰ってきてこんな風に書くのだというプリントを出した。やってみると品詞がわからない。beautifulは動詞ですか?となる。品詞をしっかりやらないとダメだとこれをやってから思うようになった。名詞、形容詞、動詞、名詞が基本。
◆絵をつける意味
 五行詩だけではなくて、必ず絵を描く、イメージ画を書くことによって自分の書いた言葉を広げている、具体的なものにしていくことが大切だと思う。
◆カラーポエム
 中学1年生でもできる。Apple is red, a pen is red, ~ is red, orange is the color of pumpkin, orange is a color of sky, のように色を使った詩を造らせる。
◆キーワードを使った詩
(1)used to beを使った詩
 I am a frog
 I used to be ~
(2)I wish を使った詩
 I wish I were a key
 I wish boys were pigs
 I wish I were a a baby
 I wish I had a money tree
 I wish I were a man
(3)Lies はみんな興奮する。だからLiesはいいんだ、suppose やpretendよりもいいと、本に載っている。「嘘つき自己表現」というのもある。ALTとの自己紹介で、一つウソを入れる。「昨日はパリにいた」とか。
◆ネタは実はみんなここにある
"Wishes, Lies, and Dreams" Teaching children to write poetry: Kenneth Koch、A vintage book(U.S.A)
◆すてきな作品にするコツは?
絵は家で描いてくる。期間をあまり短くしない。こんなのができてきたよと授業では見せる。添削はする。展示するから必ず出せよ、という。切り絵をつけたり、千代紙を使用したりするのもよい。ある時、マッチに書いてきた生徒がいる。最近は学校で何でもくれるが、「やらねえよ、オレだって広告の裏に書いてる、自分の持っているもので書け」といったら、マッチに書いてきた。これがおもしろい。英語は相談する。あまり形にはとらわれない。どんな気持ちだったと聞くんですね、何が言いたいの?ではなくて。自分のイメージを表したい時は、自分のものでやらせた方がいいと思う。キャンドルの形の紙に書いたキャンドルの詩のように。
◆評価の仕方は、できた詩をこちらが感情を込めて読んであげると、自分の詩がえらく高級な詩を作ったように思えるのではないか。そして一言、言ってあげる。文化祭でクラスに飾ったり、教科発表会をしたり、全員でなくてもいいから飾ってしまう。

<質疑応答>


Q:3年間卒業するまでに、一人何個くらい5行詩、あるいは自己表現を書かせたか?
A:多くて、2回くらい。1年に1回~2回くらい。16年いた大田区の学校では、いろいろやったが、もう終わる頃に5行詩との出会いがあり、飛びついた。退職する学校では3行の俳句も行った。最初に見たものを、どんな風になっていたかを書く、どんな風に感じたかを書いてはダメだ。事実を書く。たとえば、A frog jumped in. Sound of Water. もっと事実をにじませるような言葉を選ばせるとよかった。
Q:みんながこんなすごい作品を出すんですか?自分の学校ではクショクショの作品の子もいるが。
A:期間が長く取るというのはメリットがあると思う。修学旅行があったりして、そのあと定期試験があったりすると国語科でも俳句とか短歌を出すので、国語の先生ともタイアップして、国語で書いたのを英語にしてもよいとする。
Q:添削はどのくらいしますか?
A:つづり、詩としての指導をする。文法的な間違いではない。

<参加者の感想>


★現代のこどもは、本音が型にはまっていて小さい。発散するところがない。こういう中でも自分が夢とか大嘘を語ることによって発散していける。
★名詞と動詞の区別をつけられる、そんな授業をしていきたい。
★子どもたちの想像力は何かとずっと考えていたら、大人は言葉を知っているので言葉を使うが、子どもは言葉が完璧ではないので、それを想像力で補っている、そういう子どもたちの想像力を生かす授業をしていきたい。
★今までteacher ~entertainerを学んできたが、今日はteacher ~ poetを学んだ気がした。
★五行詩はとても難しいものだと思っていましたが、神津先生の生の作品を見せていただいて、5行詩は子ども一人一人のその子らしさの出るすばらしいものなのだとわかりました。1月にスキー教室があるので、始めてスキーをした子どもたちにぜひ五行詩を書いてもらいたいと思います。本当にありがとうございました。

(連絡先:安野寿美)
(2008年7月18日)