神奈川新英研12月例会(2020年)

2024年5月6日

12月13日(日)にオンラインでZOOM例会を行いました。午後3時から2時間。10名参加。

■神奈川支部12月例会(オンライン)実施報告

中学実践報告:
コロナ休校明けの実践 :「1対1の音読チェック」と「自己紹介スピーチ」
高橋友紀子さん
(調布市立第三中学校)

  • レポーターの抱負:久しぶりのレポート発表です。前任校勤務中では、育児休暇明けで新英研の例会にもなかなか参加できず、東京での春の特別研究集会や、関東ブロック集会などで泉先生にお会いし、素晴らしい教材を紹介していただいたりしていました。今年度は、異動初年度で中一を担当しています。4月から6月の休校中は、会っていない新1年生に自宅学習の準備をし、いつ始まるかわからない授業に、期待と不安を抱いていました。そんな中、どのように少しずつ1年生との関係を築いてきたのかについて、話をさせていただきます。
  • 授業の方針:いよいよ授業が再開された時は、とにかく不安な中スタートした学校生活において、少しでも授業で英語の学習に対する不安感を取り除きたいという思いでプランを立てました。発声させることにかなりの配慮が必要だったため、ペア活動も控えめにし、全員が前を向いた状態でした。リスニング活動が中心で、授業での音読は最小限にして家庭学習でしっかり復習をさせるようにしました。その確認として始めたのが、1対1での音読チェックです。
  • 普段の授業の進め方
    ・帯活動:BINGO、聞きトレ、歌(後期から)
    ・単語プリントの辞書引き(母音にアンダーライン、母音をうめる単語練習)

    → 例)tree : tr      
    ・文法の提示、ドリル → 教科書本文 (T/F → Q&A)
    ・音読は数ステップで(日本語→英語、本文の虫食い)
    *ALTの時間にフォニックス指導  例)-er , -or , -ear などの語のBINGO
  • ペアで音読:初め、(コロナウイルスの対応のため)発声させるかどうかも校長先生に質問しながらの状態。教科書本文の対話をペアでする(割り箸で作ったクジを引いて役割を決める)。「暗唱チャレンジ」という表にスタンプを押していく。声かけしながら、励ましながら行った。
    「教科書本文の対話を、くじを引かせて役割を決め、音読または暗唱にチャレンジさせました。スタンプカードに、各ページのチェック欄を作り、自分ができているか目で確認できるようにしました。この活動により、個人と教員も丁寧に関わることができたし、できたことを褒めてあげることができ、長い休校中の不安解消につながったのではないかと思います。何より、マスクで生徒の表情を読み取りづらい中、一人一人の声を聴いたことで授業の他の活動でも発言したり音読の発声がしやすくなったりしたと思います。さらに、短い夏休みが明けてすぐにALTとの1対1でのスピーキングテストを行いましたが、音読チェックが自信につながったと感じます。」
  • 自己紹介スピーチ:授業の進度を気にして、1学期は実施できなかったため、今年度初めてのスピーチ。ALTのモデルスピーチを聞いてからの原稿作成。クラスメイトが選んだベストスピーチ(男子生徒が自分のことをvery handsomeと明るく自己紹介)。心温まる瞬間があったスピーチ(英語が得意でなく、授業中眠ってしまうような問題を抱えている男子生徒がMy favorite person isで好きだと名指しした男の子はいつも彼のことをサポートしている子で、好きだと言われて喜んでいたそう…)を映像で紹介。「いつもの授業でそんなに役に立つ知識が得られるとは感じないけど、自己紹介を考えるのは楽しかった。」と三者面談でのコメントした生徒がいた。ふだん教室に入るのも嫌で喋っているか寝ているかの男子生徒は、発表しないかと思ったら、友達に(英文無しで)カタカナで「マイネーム イズ ~」のように書いてもらった原稿を読んで参加した。集団の力を感じた。感想で「みんなの個性が知れて楽しかった」というものがあった。
  • まとめ;「7クラスの大規模校で、学年の全員は担当できないので、今回の原稿作成では普段担当していない生徒とも関わることができたのがよかったです。過去に中1では1学期に自己紹介、2学期は他己紹介をしていたので、この時期に自己紹介?と迷いましたが、お互いに慣れてきた時期に行う良さも発見できました。人間関係が深まり、自分を表現しやすい雰囲気もあり、お互いが相手の知っていること以外の新しい情報を、楽しく聞くことができていたと感じます。また、最後に紹介したG君の例は、自己表現の力に加えて、普段関わっているクラスの集団の力だと感じました。」
  • Q:必ず入れる項目はありますか?
    A:名前、ニックネーム、誕生日、(三単現を書かせるために)好きな人について。
    Q:原稿作成は?
    A:主にALTがチェック。放課後残してチェックしたりもした。
    Q:評価のポイントは?
    A:アイコンタクト、声の大きさ・発音、内容(共通項目が入っているか)
    Q:クラスは?
    A:7クラスある。2クラスを3つに分ける。1クラス23人ぐらい。発表は1時間で行った。
    Q:落ち着かない生徒もいるかと思います。工夫していることは?
    A:ペアでする活動を入れるようにしている。助けてくれる生徒がいる。
    Q:帯活動でスピーチの準備はどのようにしましたか?
    A:Read and Look Up.で「name」と呼びかけてMy name is ~。とそれぞれが言う。

・会報担当・和田から:先日読了した2冊をお薦めします。2冊読むとよく理解できます。詩を書いて朗読し合う授業を通じて少年院の青少年が心を開いていく実践が書かれています。高橋さんの実践と重なるものがあります。
寮(さい)美千子『空が青いから白をえらんだのです 奈良少年刑務所詩集』(新潮文庫)、
寮美千子『あふれでたのは やさしさだった 奈良少年刑務所 絵本と詩の教室』(西日本出版社)

高校実践報告:
「コロナ禍で始まった1年生~それでも大事なコミュニケーション!」 
辻 小夜さん
(麻生高校)

  • 高校1年生のコミュニケーション英語Ⅰ授業の中で「生徒が活動」することを大切にしています。10~15分程度で活動を区切り、読む・書く・話す・聞くの4つの要素を、毎回必ず取り入れるようにしています。
  • 授業:生徒は英語に苦手意識がある。窓開けて換気して通常授業している。
  • 自己紹介:イーオンなどで教えたり、教材開発していたが営業などがあるので公教育に携わろうと大学に入り直した。外資系会社に入っていたりした後に小学校でALTを10年間した。小学校で学んだ生徒達が中学校でどうなるかをみたいと思って中学校・高校講師をして、採用試験を受けて高校教諭になった。
  • 大切にしていること:英語を好きになって欲しい。4技能の活用と「遊び」を大切にしている。生徒を主体にする(挨拶、今日の日付を書く、ペアワーク)。簡単な英語をどんどん話す。活動につながりをもたせる。
  • 黒板の使い方;左に「日付、曜日、天気」を生徒が書く。その横に授業でする事を書く。必ず声を1回は出させる。1,2で5分。単語を使った活動(クリスクロス)。派生語beautyの形容詞形を調べさせる。
    A3サイズを半分にして上に英単語、下に意味。半分に折って英単語を提示。instead「インステェドゥ」のアクセントの「ェ」で背伸びするようなアクションをつけて発音し、生徒もアクションしてもらう。
    1. Greeting
    2. Small Talk  My favorite Japanese foodで書く、ペアワーク、コメント。
    3. Lesson 6 Part 2  vocabulary  listening  story  reading  Question
  • 本文:文法は英語表現の時間に説明。ワークシートを使い、T or Fなど。グループワークすることもある。
  • 小道具:小学校英語で使っていたもので「さいころ」「旗を持たせる」「ホワイトボード(裏にマグネット→黒板に貼る。今日学んだことを絵で表現してみようと呼びかけて描いてもらう。)」
    鈴木のスクールタイマーを学校の備品で買ってもらっている。
    スクールタイマー4plusSTEX-04P 税込価格 ¥7,480(本体 ¥6,800)
  • Q:単語の活動を詳しく教えてください。
    A:20人を10人ずつ2グループ。10語程度横並びに黒板に単語を貼り(単語は途中で入れ替えることもある)、Aチームの先頭の人は左から、Bチームの先頭の人は右から「pressure 圧力」のように同時に音読する。左右がぶつかったところでジャンケン。負けた人は席に戻る。これを繰り返す。
    Q:教員のテンションは下げて、生徒を上げるのが理想。実際は自分がクタクタになってしまう。教員のテンション管理は? 
    A:小学校英語はテンション高いので大変だった。今は早く教室に入って生徒と触れておいて、鐘が鳴ったら「さあ授業だよ」とする。自分もアクションするが生徒にアクションしてもらう。
    Q:クラスは?
    A:8クラス×2分割=16で6人教員。共通試験。文法がっつりの先生もいる。表現をさせようと思うと時間がかかるのが悩み。試験では生徒の成績は悪くないが身についている実感をもたせたい。
    Q:自己表現の発表は?
    A:3学期はShow and Tellをする。

・萩原さん:このやり方で話す活動をすると生徒は英語力がついていく。Summaryを書かせてまとめさせると良い。神奈川県の言語教育アカデミアで高校のテスト作りのマニュアルがダウンロードできる。
★高等学校英語教員のための定期テスト作成 簡易マニュアル
https://www.pref.kanagawa.jp/documents/6115/testmanual_revised2018june.pdf


●日時:
12月13日(日) 午後3:00~5:00

3:00 ~ 入室開始
3:10 ~ 3:40 中学レポート
3:40 ~ 4:00 意見交換
4:00 ~ 4:30 高校レポート 

●参加条件神奈川支部会員、事務局が参加を認めた方

●参加申し込み:会報担当・和田(sasuke@mbd.ocn.ne.jp)にメールを下さい。
URL、IDとパスワードを送ります。

 中学実践報告
コロナ休校明けの実践 :「1対1の音読チェック」と「自己紹介スピーチ」
高橋友紀子さん(調布市立第三中学校)

今年度は、異動初年度で中一を担当し、コロナ休校後に生徒の不安を取り除く1対1の音読チェックから始まり、少しずつ関係を構築。メインは、今月実施予定の「自己紹介スピーチ」についてです。

 高校実践報告
「コロナ禍で始まった1年生  ~それでも大事なコミュニケーション!」 
辻 小夜さん(麻生高校)

高校1年生のコミュニケーション英語Ⅰ授業の中で「生徒が活動」することを大切にしています。10~15分程度で活動を区切り、読む・書く・話す・聞くの4つの要素を、毎回必ず取り入れるようにしています。

2024年5月6日神奈川

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