■ 神奈川新英研7月例会

2023年7月
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■7月例会(オンライン)報告 (文責:和田さつき)


2023 年7月9日(日) 午後 3 時~5 時 30 分、オンライン(Zoom)開催。参加者 19名。

1)中学校実践報告:

「飛びだそう 世界へ つながろう 人々と
―言語・自己表現・文化の3つをいっぺんに
ー楽しく、能動的に、外国語学習の王道を―」

安部直子さん(東京都武蔵野市立第六中学校)

●レポーターから:
 新英研で多くのことを学び実践してきました。アルファベットカードゲーム、センテンスビルディングカードゲーム、『マイノート』づくり、「マイオリジナルスペコン」、タブレット使用の反転学習など。スピーチ、「キャッチボールトーク」、ハッピーコミュニケーション、「パスポート」など。そして文通やメッセージカードでの交流、『ハンドインハンド』、『絵本を届ける運動』、9.11 や 3.11 の時の交流、イラク戦争、ウクライナ戦争、SDGs、『地球の仲間たち』など。全て実際の映像又は画像で見ていただこうと思います。生徒も教師自身も生き方を考え、実践していく。そんな授業、教育のあり方を目指します。

●参加者の感想

  • 安部先生の授業がどう世界に繋がっていくのかを具体的に知りたかった。時間が足らず、残念。
  • 基本を丁寧に一人も落ちこぼれを生まない素晴らしい実践でした。
  • センビル、参考になりました。
  • とても丁寧な実践で、大いに参考になりました。「社長のソックス」など、英語が苦手な高校生に使える ヒントをいただきました。また、人と人との交わりを大切にされていることにも、気づきをいただきまし た。
  • 安部さんの生徒への期待の大きい思いがこもった実践報告でした。挨拶でも言語活動でも、教員から の発問に答えるだけではなく、生徒から他の生徒や教員へも発問するなどがあると、自分から言葉に する癖ができていくので、取り入れたいものです。
  • 安部さんの哲学が凝縮されたような、濃いレポートでした。いままでこもれび塾で教えていただいたこ とが、すべて 1 つにつながり、急に焦点が合ったような嬉しさを覚えました。本当に素晴らしい実践をさ れていると思います。ありがとうございました。
  • 教室に入るときに「Hi, (生徒の名前)」で入っていく。3 人称単数現在の es は「社長(sh,ch)のソッ クス(s,o,x)、es つける」と覚える。信念を持って教え続ける安部さんと学ぶ生徒達は幸せだなと思い ました。

2)高校実践報告:

「非進学校における英語教育の可能性をさぐる」
小川弘義さん(新潟県立十日町高校松之山分校)


●レポーターから:
 語彙が少なく、記憶力・抽象的思考力も弱い生徒に GTEC や英検などを目標に学習させても、学ぶ喜びにつながりにくいと感じています。基礎力向上を図りつつ、資格・スコアでは測れない心に残る学習をさせたいと思い、文学作品の読み取り、自己表現、ことわざを使った文法学習、国語教育から学べること等をレポートします。

  • 大村はまさんは英語教師スタートだったとのこと。ことばとしての教育。
  • 各教科1名ずつの分校。不登校生が多い。
  • 検定・資格・大学入試による動機付けは期待できない。
  • 「長文が読めるようになりたい」という気持ちがある。
  • 「ことばって面白い」という瞬間を期待したい。
  • 困難な点
    日本語・英語の語彙が少ない。
    論理的思考や抽象思考が苦手。
    学習上の成功体験が乏しい。
    勉強という苦行から解放されたいというのが本音に見える。
    家庭環境(ヤングケアラー)
    小中学校でのつらい体験(いじめ、悪口)
    発達障害(服薬している)。
  • 天満美智子『子どもが英語につまずくとき』1982(20 数年ぶりに読んでいる) 第 2 章 教師としてあなたへの問いかけ
    1. 子どもを知ろうとしているか?
    2. 管理者になっていないか?
    3. 子どもの感性を知識の犠牲にしていないか?
    4. 教科固有の美しさを感じているか?
    5. 自己研修をしているか?
  • キャサリン・パターソン『テラビシアにかける橋』1979
    息子と息子のクラスメイトの少女がモデル。
    スポーツに関心がないのに関心があるように振る舞わなければいけない環境にある少年。
    小川さんが心揺さぶられたストーリー。今も思い出すと泣きそうになる。
    キャサリン・パターソンによる「創作に関してのエッセー」紹介。
    その中に出てくる、right, a gift, know などの古代ゲルマン語起源の語に注目。
    平易な語が持っている豊かさを見いだした。これが小川さんの英語に関する「原体験」。
  • 普段の授業で心がけていること。
    • 具体から抽象へ。
      ロングマンの辞書では「左は心臓のある方」としている。
    • ユーモアとリアリティ
      I have a friend whose pet is a snake.
    • ディクテーション
  • 選択科目「教養英語」 ロミオとジュリエット、O・ヘンリ短編集の「古パン」 Witches' Loaves、「振子」 The Pendulum


●参加者の感想

  • 面白い。There are people and people.と There are lies and lies. が実に面白い。こういう行 き方は、基礎のくり返し学習より断然面白い。
  • しっかりした教育観に基づいた素晴らしい実践でした。何のための英語教育か、原点を考えさせら れる実践でした。
  • 沢山の文学作品を読まれていらっしゃることを知り興味深く拝聴させて頂きました。私は小学校教諭 ですので、深く感想は申せませんが、小学校の楽しい英語が、高校生に繋がる事を、願いながら。ま た、自分の英語学習の学びとしても、また、参加し拝聴させて頂きたく思いました。
  • 英語の授業において英語力以外に生徒に残せるものは何か、あらためて考えました。
  • 自分のレポートでしたが、時間配分が今一つでした。
  • 大変共感することが多くありました。ご苦労は多いかと思いますが、小規模校で自由に実践されて いるのが羨ましく思いました。
  • 「非進学校では」→「非進学校でも(進学校でも)」に代えて、どの高校でも豊かな感性をもつ生徒 に期待して良いと思うし、豊かな教材(文学に限らず)を提供する教員の個性が発揮できる環境で ありたいと思った。文化の無い無味乾燥な「Dialogue」中心の教科書では児童も生徒その感性に 残るものが少ないと思っています。金太郎あめみたいな教科書をそのまま教材にしないで、年齢に ふさわしいテーマのある教材を探すのが教員に求められていると思います。
  • ご紹介いただいた本の数々、早速注文しました。易しく、深く、豊かで、楽しい授業のヒントをありがと うございます。
  • 大村はまさん、天満美智子『子どもが英語につまずくとき』1982、キャサリン・パターソン『テラビシ アにかける橋』1979 のお話、この3つが良かったです。多くの先生方に聞いていただきたい報告で した。

★O・ヘンリの作品の映画があります。
https://www.youtube.com/watch?v=YAY7JYi0xaU
短編5作をオムニバス映画にした『人生模様』(O. Henry's Full House 1952)

●近況をお知らせ下さい

  • 翻訳三昧
  • クラブが忙しいです。一方で生徒の頑張りに触れられるのは喜びです。
  • 忙しいのですが、前の学校ほど徒労感はなく、やりがいを感じています。
  • 現在、聖学院中高と横浜高校で非常勤講師として働いています。
  • 今年は高校3年生を教えています。必修科目は、とにかく進度が速く、教科書をこなすのに精一杯で す。選択科目で好きなことをやらせてもらっています。
  • 急に非常勤講師を始め、怒濤の日々ですが、勉強になり、有り難いです。 高3の授業で1時間目に11人欠席だったとぼやいたら「5人しかいなかった」という応答をいただき、 なぐさめられました。こういうことが言える場があることが幸運だと感じています。

●授業などに関して困っていること

  • 今は特にありません。最近、英語教師としての自覚が欠けてきました。担任教員やクラブ顧問として のアイデンティティーの方が強くなってきています。
  • ICT 活用できていません。
  • 両校とも共通試験で教える内容が決まっているので、試験範囲をこなすのがやっとです。ちょっとし た投げ込み教材でさえ教えられないのが残念です。
  • dictation 指導の工夫について
  • 必修科目で、生徒を能動的にするには、今の自分のやり方の何をどう変えればよいのか、具体的な 手立てが思い浮かばず、悩んでいます。



日 時: 2023年7月9日(日)午後3:00~5:30
実施方法: オンライン
日 程: 3:00 ~ 入室開始
3:10 ~ 3:55 中学校レポート
3:55 ~ 4:10 質疑応答
4:20 ~ 5:05 高校レポート
5:05 ~ 5:20 質疑応答
5:20 ~ 5:30 事務連絡・アンケート記入
内 容: 中学実践報告
「飛びだそう 世界へ つながろう 人々と」
 ―言語・自己表現・文化の3つをいっぺんにー
 楽しく、能動的に、外国語学習の王道を
  安部直子さん(東京都武蔵野市立第六中学校)

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高校実践報告

「非進学校における英語教育の可能性をさぐる」
  小川弘義さん(新潟県立十日町高校松之山分校)

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参加条件: 神奈川支部会員、事務局が参加を認めた方
参加申込: 会報担当・和田にメールを下さい。URL、IDとパスコードを送ります。
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(2023年6月12日掲載/8月22日更新)