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「都立高校入試へのスピーキングテスト導入の中止を求めます!」の記者会見


 2021年12月27日に都庁内で行われた「都立高校入試へのスピーキングテスト導入の中止を求めます!」の記者会見について、朝日新聞EduAでは、以下のように報道されています。

どうなる中学・高校入試
【速報】都立高入試の英語スピーキングテスト 教員らが「導入反対」の記者会見

2021.12.27
山下 知子


2022年11月に初実施予定、約8万人が受験

都教委は2016年の都英語教育戦略会議の提言を受けて、英語スピーキングテストの導入を決めた。学習指導要領で求められる英語の4技能「読む・書く・聞く・話す」のうち「話す」を評価する狙いという。今の中学3年生から実施する予定だったが、コロナ禍のため1年延期。22年11月27日、都内の公立中の3年生ら約8万人を対象に行う予定だ。

この秋には、現中3生約8万人が参加してプレテストも行った。専用のタブレット端末やイヤホン、耳を覆う防音具(イヤーマフ)を使い、生徒の解答を録音して採点する。昨年のプレテストでは、英文を声に出して読む問題や、4コマのイラストを見て、それぞれの場面について英語で話す問題などが出た。

都教委はベネッセコーポレーション(岡山市)と協定を結び、事業主体は都教委、運営主体はベネッセという位置づけで「共同実施」する。試験監督は外部人材を活用し、採点はフィリピンで行うという。

スピーキングテストの結果はA~Fの6段階で示され、それを20点満点で換算した点数を、学力検査(700点満点)と調査書の点数(300点満点)に加点し、計1020点満点で合否を判断する。スピーキングテストを受けなかった場合は、スピーキングテストの仮の点数を、学力検査の英語の点数をもとに算出する。

都教委国際教育推進担当課長の西貝裕武(にしがい・ひろむ)さんは「中学校でスピーキングテストは行っている。身についている力を入試でもしっかり見てあげる、積極的に評価していくことが大事だと考えている」と話す。

マイクつきイヤホンと、周囲の音を遮断するイヤーマフ=都教委提供
マイクつきイヤホンと、周囲の音を遮断するイヤーマフ=都教委提供


公平な採点は可能? 「母語の影響」とは?

12月27日に会見したのは、「都立高校入試へのスピーキングテスト導入の中止を求める会」。都内の中学校や高校の教諭、大学教員らからなる。都立高で英語を教える中山滋樹さんは「大学入学共通テストでも導入を見送ったスピーキング。客観的合理的に判断すれば、都立高入試への導入も当然中止すべきだ」と訴えた。

会が掲げたスピーキングテストの問題点は以下の6点だ。

  1. ① 公平な採点はできるのか
  2. ② 評価の信頼性への疑問
  3. ③ 授業と英語教育への波及の問題
  4. ④ 個人情報漏洩(ろうえい)の危険性
  5. ⑤ 入試配点上のバランス
  6. ⑥ 家庭の経済格差が学力格差を生む

会見では①について、中学校の現場で行われているスピーキングテストは、担当者の間で細かいすり合わせと話し合いを行っているとし、「労力をかけて行う評価を約8万人の生徒に対して行うことは不可能だ」とした。

②の評価の信頼性については、どのような間違いがどれだけ減点されるか不透明だとし、特に都教委が示している採点基準にある「音声」の項目(3点満点)について疑問を呈した。この項目は、「母語の影響を非常に強く受けている」だと1点、「母語の影響を強く受けている」だと2点、「母語の影響を受けている場合があるが、概(おおむ)ね正しい」だと3点としている。法政大講師で新英語教育研究会長の池田真澄さんは「厳密な区別がつくとは思えない。日本語話者は日本語の影響は必ず受けており、気にしていたらまともに話なんてできない。世界には多様な英語があるのに、入試は別というのはおかしいのではないか」と話す。


「都立高校入試へのスピーキングテスト導入の中止を求める会」の要望書

③の授業への影響については、入試に出るとなると正しさを気にして、生徒が話すことに対して萎縮してしまう懸念をあげた。会見に同席した区立中学校の元教員は「普段は『間違えてもいいから話してみよう』と指導しているはず。なのに、入試では『間違ってはだめ』となる。現場が混乱する」と話した。

スピーキングテストでは、登録時に生徒の顔写真をアップロードすることが求められる。④の情報漏洩への懸念について、会は「名前と顔写真、テスト結果が一私企業に委ねられて大丈夫なのか」と訴えた。⑤の配点については、導入予定の英語のスピーキングがほぼ1教科分の内申点に匹敵すると指摘。「英語の1技能であるスピーキングの配点として適切なのか」と疑問を呈した。⑥については、経済的に厳しい家庭の子どもに、スピーキングテストが不利に働く懸念を指摘した。

慶応義塾大名誉教授の大津由紀雄さんは「話されたことの評価は非常に難しい」と指摘。その上で、「話す」というプロセスは「思考、言語化、音声化」からなり、「音声化以外はライティングで測れる。スピーキングテストが抱える現実的な問題点を考えれば、中止すべきだ」と訴えた。

都教委「学校でしっかり取り組むことが格差是正」

こうした指摘について、都教委の西貝さんは「誰が採点しても同じであることを確認しており、信頼できる」とする。フィリピンでは、採点は常勤の専従スタッフが従事しており、定められた研修を修了する必要があるという。

家庭の経済格差が学力格差につながるとの指摘について西貝さんは「学校の授業では英語で話す活動を計画的に行い、生徒が話すことへの自信を高めることが大切。学校でしっかり取り組むことで、全ての生徒が英語力を身に付ける教育が実現できると思っている」と言う。

また、昨年度実施したプレテストの評価基準にある「母語の影響」については、「カタカナ読みやローマ字読みなど、聞いている相手に意味が通じない、相手に負荷がかかるような解答を想定していた」と説明。今年度の採点基準は年内に公表するという。

中学や高校の先生はどう見ているのか。

都立高校で英語を教えてきた60代の元教諭は「これまでの英語教育は『読む・書く・聞く』に偏っていた。言語学習には当然、『話す』ことも大事なわけで、積極的に採り入れるべきだ」と言う。都立高校の50代の教員は「一人の人間の人生がかかっており、入試の採点は『全集中』。公立高校の入試の採点を民間に委ねていいのか。そもそものところでモヤモヤしている」。

一方、区立中学校の教諭(28)は「スピーキングを重視する方向は賛成。でも、これまでは授業で『間違いを恐れずに、とりあえず声に出してみよう』と指導してきたが、中3になったらそれではいけないのかな、と思う。難しい」。元区立中教諭の50代の女性は「現場は練習を重ねることになる。こうしたことが、子どもたちの話したい意欲を上げるのだろうか」と言う。50代の区立中学校教諭は「学校のスピーキングテストであっても、教員やALT(外国語指導助手)によって評価が分かれる時がある。8万人が本当に公平に採点できるのだろうか。採点基準もよく分からない」と話し、「不安をぬぐいきれてはいない」と打ち明ける。

https://www.asahi.com/edua/article/14511460

  1. 都立高校入試へのスピーキングテスト導入の中止を求めます!
  2. (このページ) 会見の様子の報道
  3. STOP!2 今,東京の中学校現場は? テストで授業を変える?
  4. STOP!3 都庁で記者会見!スピーキングテスト中止を求めて
  5. (このページ) 都立高校入試への英語スピーキングテスト導入見直しを求める市民大集会
  6. 署名にご協力ください
  7. 「導入の中止を求める」記者会見/都教育委員に公開書簡を提出
  8. 運動に寄せられた声
  9. 第2回署名にご協力ください
  10. 都立高校入試への英語スピーキングテスト導入見直しを求める 夏の市民大集会
  11. 江戸川陳情署名ににご協力ください

(2021年12月28日掲載)

 

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