■ 授業に歌を

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第137回 The Rose ローズ (By Bette Midler)
―3年生最後の授業で送るLove Song ―

妹尾恵理子(福山市立東中学校)

1 この教材を選んだ理由

 ここ数年,3年生最後の授業はBette Midlerの名曲 "The Rose" と決めている。 10年ほど前同名の映画を見てそのlast sceneで流れていたこの曲に魅了された。単調だけれどメリハリのあるmelodyの美しさ、歌詞の持つ意味の深さ、彼女の力強く優しい歌唱は何度聞いても飽きず,その都度違った感情を与えてくれる。中学校卒業を目前にして様々な思いが交錯しつつある彼らに「これからの長い道のりに幸あれ」というはなむけの歌としてぜひプレゼントしたいと思った。又同時に3年間英語を学び,新しい一つの自己表現として英語という言葉やその響きをこれからも大切にして欲しいという願いを込めた。

2 授業の流れ

  1. 中学校最後の英語の授業でこの歌を選んだ気持ちを話す。
  2. 一度CDで聞く。(5分)
  3. 授業で使ったプリント 歌詞のプリントを渡し、中3にはかなり難しいので訳し方のポイントを伝える。
    【例】構文として
    • Some say love it is ~ that ~
    • it's ~that (who )~
    単語 drowns, reed , razor , aching need , seed , be taken , dying , only for , far beneath , lies the seed (5分)
  4. 生徒を班机にさせて各班に辞書を持たせる。
  5. 歌詞を(1)~(12)までに分け六つの班に2スタンザを割り当て、自分達で辞書を引き、なんとか意味を考えるように時間を与える。(15分)
  6. 黒板を六つに区切り、各班に訳を書かせる。(10分)
  7. それぞれの訳文を、英語の表現方法、彼らの今の状況や心情を例えに出しながら解説していく。
  8. (10分)
  9. 私が邦訳を朗読し、「みんなのために歌います 」と伝えて歌う。 (5分)

 歌う前に「下手だけど聴いてね」と言うとある男子が「先生、上手かどうか何て関係ないんだって。気持ちがこもっているのが僕等はうれしいんで。」といってくれた。最後まで静かに聴いてくれて温かい拍手をくれた生徒達。「先生、3年間ありがとう」と握手をに来てくれた生徒達。「先生、メッチャ感動したよ」と後で言いにきてくれた生徒達。 授業というのは、教師が何かを教えようというのではなく、生徒達の気持ちをもらってこちらの気持ちが励まされ、そこに一つの感動が成立するものだと実感しました。そんな幸せな最後の授業でした。

3 第2分科会でのレポート発表で

 この度の愛知大会の第2分科会でこの"The Rose"を読み取りの教材としてレポートさせて頂いた。
 大体上の授業の流れのように進めたが、大きく違っていたのは先生方が歌詞をグループごとに解釈して下さったことだ。教材の読み取りに関しては、それをそのまま日本語の言葉に当てはめるのではなく、行間の意味まで解釈することが求められる。長い間読み取りに取り組んでこられた先生方の独自の解釈を私はとても楽しみにしていた。特に①②③の「愛とは~である」という例えは実感としてはどうか。又⑦のone won't be taken who cannot seem to give をどう捉えるかもいろんな意見が出た。takeとgiveを対で捉えて奪われようとしない、何かをもらおうと思わない等。生徒の感想の中にも「takeは『取る』としかinputされたなかったが歌詞の中で捉えるといろんな意味があるということが理解できた」とある。(右資料参考)又1時間だけの扱いではなく何回かに分けて詳しく解釈をしていき、歌もその都度流していけばと言うご意見を頂いた。確かにそうするとこのmelodyとともに生徒達の心により鮮明に残り、忘れられない中学校時代の英語教材になるだろう。この分科会での先生方の熱心で温かい討議で私自身も励まされ感謝しています。

資料

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