■ 神奈川新英研7月例会

2016年7月
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■ 近況、最近取り組んでいること

■ 最近うまくいかないこと、悩んでいること

■ 事務局への意見


●中学実践報告:「生徒が英語を使うようにする工夫」

岡田理沙さん(大和市立上和田中学校)

1. レポーターから

2. 報告

<参加者の感想>


●高校実践報告:「被爆70年 戦後70年 8・9長崎平和祈念式典での
谷口稜曄(すみてる)スピーチから~いつまでも戦後であってほしい~」

川村雅則さん(旭丘高等学校)

レポートの概要

1.なぜ谷口スピーチなのか???


2015年5月、ニューヨークで行われたNPT(核拡散防止条約)再検討会議の成功を要求する日本被団協のデモ行進。

2.谷口スピーチで得られたもの

生徒の感想から

3.谷口スピーチをどう扱ったか

授業の流れ
最初の一時間目に谷口スピーチを視聴、興奮冷めやらぬ中、以下の流れで展開した。
  1. (1)4人班で辞書引き
     グループになるには何人班がよいのか。恐らく決まり切った定式はないだろうが、感覚としても「お客さん」を作らない人数の4人班で行なっている。5つ程度の英単語を選び、辞書引きしている。習うよりは慣れろという感じだが、生徒の実感としても、辞書引きが早くなってくるから、不思議だ。辞書引きの利点は、生徒の学力差を感じさせない点だ(科では、一括校納金より『エースクラウン英和辞典』(三省堂)を全員購入させている)。
  2. (2)文法事項の説明
    配布プリントでは、2行目と3行目に受動態が使われている。被害を語る上で、絶対に欠かせない文法事項である。<be+過去分詞+by ~>。過去分詞を書くことができない生徒が多いことは事実だが、この授業で長崎の被爆「被害」を感じさせたかった。
  3. (3)班ごとに日本語訳づくり
     難しい単語には㊟をつけながら、班ごとに考えさせた。長いスピーチを、細切れにしながら、プリント配布で、一時間に一枚のペースで、後半部は省略もしながら。しかし、一時間に一枚終えられないことも多く、9月初めから末まで、修学旅行ぎりぎりまで谷口稜曄スピーチを扱った(国会情勢も大きく動く中、寝不足感、使命感…)。
  4. (4)班ごとに日本語訳発表  班の中で、特にリーダーを決めているわけではないが、班で作られる日本語訳は、大筋の意味を捉えている。私が机間巡視をしながら、生徒に分かるように、「指導」を入れている。
  5. (5)コーラス・リーディング
     意味を「かたまり」で捉えられるように、かたまりで読めるようにしている。長い文は、back-upして読ませている。  配布したプリントのタイトルは「私の姿から目をそらさないで」ということにした。それこそが、稜曄さんのメッセージであり、感受性の強い生徒たちに、受け入れてもらえると思ってのことだった。長崎の地においても、平和教育を実践していくことが困難になってきているということを聞く。しかし、ナガサキ修学旅行を実践している私にできることは、生徒と被爆体験を共有し、共感し、継承していくことだ。「谷口さんすごい人だぞ」「私たちのために被爆体験を語ってくださる方はすごいぞ、かっこいいぞ」と思わせることができるか。共感を入口にできるか(自分が好きなことは、どんどん調べる。生徒たちの、ゲームに掛ける集中力を見れば良く分かる。自分が好きになったものは、とことん追究していくのだから…)。受け入れてくれた生徒に感謝しつつ、私自身磨いていきたい。
    *英文に相当する日本文も配布し、どの英文に相当する日本文であるかを確認させる作業もしている。
    *また、1年生向けのプリントにはそれぞれの英文に番号をつけ、ポイントとなる助動詞には下線を引いたものになっている。同時に辞書ひきするべき単語を抜き出して、単語の整理を行なわせ、自分の身近な内容の英作文を課題にしている。
参加者からの意見:辞書引きする単語をしぼり、辞書指導させていることがよい。難解な語句に和訳を与えているのはよい。受動態だけでなく分詞の後置修飾も併せて作業させてもよいのでは。体験の場面をいくつか絵にさせることもあり得る。時間的制約がある時は後半の憲法の話からは対訳を与えてしまって内容理解させる方法もある。班活動は場面を限って利用するとよいと思う。

配布プリント

*プリント②~⑥までの英文は以下の通り(プリント⑦は原文(日本語)の紹介になっています。)
  1. ② Faces swollen like pumpkins. People whose eyes had fallen out of their sockets. Large groups of people who had died in the Urakami River as they sought water. That night, this land in Urakami was a sea of fire. It was hell.
  2. ③ That hell did not end. The uninjured, those who wandered for their families, and those who rushed to provide relief and aid suddenly developed reddish – purple spots all over their bodies, and died vomiting blood.
  3. ④ On this day 70 years ago, I was 16 years old. I was a postman. At the moment the bomb exploded, I was riding my bicycle through Sumiyoshi-machi, 1.8km from hypocenter. Suddenly, from behind me there came a rainbow of light, and I was blown over and crushed into the road by the ferocious force of the blast.
  4. ⑤ After the war, the "Constitution"was established, which pledged to the world that Japan would not possess weapons. However, now there is an attempt to collective self-defense and an amendment to the Constitution. This security bill the government is pursuing will lead to war. It is an attempt to overturn the nuclear abolition activities and wishes held and carried out by the hibakusha and those multitudes of people who desire peace. We cannot accept this.
  5. ⑥ Nuclear weapons are cruel and inhumane. There is overwhelming international support for the abolition. I pledge before all those who desire peace to inherit the wishes of all my companions who have passed away over the past 70 years, and that as a living witness of war and the atomic bomb that I will continue to convey the truth of the atomic bombing throughout the world for as long as I live, so that we may realize a peaceful world without war or nuclear weapons. TANIGUCHI Sumiteru August 9, 2015

4.修学旅行を終えた生徒の声(2人ほど)

以上、上記のことは、2年生の修学旅行前の授業で、行なった報告となります。この経験を一年生でも、させてみようと年が明けて2016年1月から取り組み始めた。

5.修学旅行前の2年生で行った実践を、1年生でも行ってみた

2016年1月23日教科会合にて

 今年度の科内公開研究授業の分析を振り返ってみると、主に以下の3点が挙げられる。

  1. ①「生徒がどこで学び、どこでつまずいたか」
  2. ②「実践者のテクニックの評価、助言、不十分さの指摘」ではなく、分析者がその授業を通じて何を学んだか。
  3. ③「その授業の狙いに対する教授法」の共有だけでなく、生徒認識・授業内容の共通認識の確認を行う。
    また教科会合で議論し感想・分析を行う中で特に共通して挙げられたことは、
    「どのようにしたら生徒が英語を好きになるか」
    「どのようにしたら身近なところから英語を教えることができるか。」
    「一方的な授業でなく、できる限り生徒に考えさせる授業を行えるか。」
    「英語を教える必然性をどのように作るか」

という点が挙げられ、英語科の活動方針・視点に沿った授業作り・議論を行えた。そういった点で今年度の実践は英語科の教育実践統一を目指す上で大きな足がかりとなった。
<参考文献> ・『谷口稜曄 聞き書き 原爆を背負って』(西日本新聞社)
       ・『平和への道しるべ』(長崎平和推進協会)

*旭丘高校は職場での教研活動が定着し、私学教育の集まりや新英研の全国大会にも毎年複数参加されています。このレポートは今年の福島大会でも第7分科会で報告されました。毎年PTSの懇談会があり、生徒、保護者、教職員の話し合いから全学あげて学校づくりを行っている小田原の伝統ある私学です。また、この4月から川村さん他の英語科で雑誌『新英語教育』で高校の授業実践の連載を担当していますので是非ご一読ください。

<参加者の感想>




●日時: 2016年7月9日(土) 午後3:30~7:00

3:20 ~ 受付開始
3:30 ~ 5:00 中学校レポート[担当:萩原]
5:00 ~ 5:15 休憩
5:15 ~ 6:45 高校レポート[担当:棚谷]
6:45 ~ 7:00 アンケート記入・事務連絡
●会場: 大倉山記念館 第1集会室 (Tel. 045-544-1881)
(東急東横線「大倉山」下車 徒歩5分
改札口を右に出て右折、急坂上る)

●高校 
実践報告:
「被爆70年 戦後70年 8・9長崎平和祈念式典での
 谷口稜曄(すみてる)スピーチから~いつまでも戦後であってほしい~」
川村雅則さん(旭丘高等学校)
レポーターから:
 ナガサキ修学旅行を念頭に行った実践を振り返りながら、諸先生方からご意見等頂けたらありがたく思います。
●中学校 
実践報告:
「生徒が英語を使うようにする工夫」
岡田理沙さん(大和市立上和田中学校)
レポーターから:
 今までやった活動(主に文法定着のための活動)で、生徒が楽しそうにやっていたなあと思うものをご紹介します。
●会場費: 500円(支部会員200円 学生200円)
[当日会員登録(年会費2,000円)で割引適用]
●問い合わせ: 萩原一郎 クリックするとメーラが開きます。

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(2016年7月4日掲載/8月25日更新)