■ 群馬新英研3月例会
2016年3月
【群馬県公立高校入試問題「英語」検討】
<出された意見・感想を箇条書きで記す。>
Ⅰ リスニング問題
1
- いずれも、絵は良くなってきている。
- 最後まで聞いて、答を絞る決め手になる表現が分かるのが良い問題と思う。
- No.2の対話が、美術館(展)の場面としてやや不自然な感じもする。
- No.2では、生徒がpictureを「写真」とのみ覚えている場合もあり、混乱したかもしれない。
- 高校の「英会話」という科目でも、この程度の英語である。
2
- 単に英語力だけでなく、表やグラフを読み取る力が必要である。
- TOEICやセンター試験の形式を取り入れるようになってきた。
- 検定教科書の編集に関わっているが、表やグラフを見て学ぶ教材を入れるように求められる。
- 今回のグラフを90度回すと、ランキングがよく見て取れるのではないか。
3
- 曜日を書けないという生徒も結構いるが、聞き取りは出来るだろう。
- 3泊4日の旅行を聞きとって、曜日を逆算するのは、結構難しかったのではないか。
- 沖縄から帰ってすぐの土曜日に映画を観に行くだろうか。
- この表現から考えると「飛行機で」というイメージがあるが、生徒たちにはどれほど実感があるだろうか。
- bagかbookかで迷ったのではないか。
4
- 環境問題はいろいろな教科書で扱われ、「何ができるか」などの発展的な行動を考える学習は結構行われているのではないか。
- 自分の考えを反映させた文を書くという問題が他にもある(今回は3問)が、採点者泣かせでもある。
リスニング問題を全体的に見て
- 今回は、聞き取る時間が全部でおよそ8分程度で良かったのではないか。4番の英文を書くところでどのくらい時間をとられてしまったか分からないが。
- 今まで、10分を超えていて、あとの問題を解くのが大変だった。
- 聞きながら「メモを取ってもよい」という説明をしなくなった。TOEICやTOEFLなど意識してなのか。
- 以前は、誰でも答えられる問題だったが、最近は「差がつく」出題になっていると思う。
Ⅱ 記述問題
5
- E-メール形式は現代の英文として出てきますよね。
- 回答の選択肢が示されているのは答えやすくて良いと思う。ここでは記号でなく単語を綴らせる問題で、正確に書き写せるかを確かめられる。
- A の afterは、文の流れから考えて、色々な答を考えてしまった。at schoolとかbecause he ... とか。
6
- ここも選択肢があって良かった。
- 下線部に自分の考えを反映させる文を書かせるのだが、どこまでかけるだろうか。
7
- 3年の速読用のone lessonほどの長さかな。
- 現代科学技術系の内容だが、多くの生徒がどれくらいついていけるだろうか。
- 段落ごとにタイトルを付けるのは、総合的な読みの力が必要だろう。
- (1)と(2)の出題順を逆にした方が答えやすいのではないか。←→否、この順で良いと思う。(両方の意見が出されました。)
8
- 英語検定2級の問題と似ている。
- Iで書き始めてしまう生徒も出てしまうのではないか。
- 絵を見て文にする(事実を踏まえてとなる)ので書きやすいのではないか。
- 自分の考えを反映させの英作文は結構難しい。
記述問題を全体的に見て
- ・口語的な表現が増えて、大きく変わったなと思う。英文は比較的易しいが、設問が答えにくいと思われるものもある。
- ・問題英文の単語と単語の間が広く開いていて、自分としては読みにくいと感じる。
(まとめ文責:加藤彰男)
【実践交流】『定時制高校の生徒を英語の授業で「ソノ気」にさせる!!』
齋藤理一郎さん(太田フレックス高校)
教科書「All Aboard! Ⅱ」の"Girl with a Pearl Earring"から「Something Always Supporting Me : いつも私を支えてくれる何か(絵、歌、本)」のShow & Tellに取り組んだ授業のことから報告がはじまりました。
Johannes Vermeerの絵を題材にした教科書の英文を参考にして、「自分を支えてくれる何か」を書き出し、それについての必要情報、それが好きな理由3つ以上を書き加え、最後に、それがどんな支えになっているかを書くという授業です。
生徒たちは、スマホを使って、自分が見せたい絵や音楽や本を探し/ワークシートのテンプレートに沿って穴埋めから英文を書き始め/分からない単語や表現を辞書で調べたり、友だちに尋ねたりと活動を進めますが、「センセー、お手本見せてよ!」の声…これに応えた齋藤さんのDemo 1は"The Kiss by Gustav Klimt"。
生徒たちは、分からないところの教え合いやShow & Tellの練習ごっこを積み上げて、クラスの前で見事なスピーチを披露しました。もちろん齋藤さんもDemo 2"Tegami by Okabaya- shi Nobuyasu" で自己表現しました。
全員の発表が終ると、「これ、クラスで見せ合うだけじゃ、もったいないよね」、「来月の文化祭で、発表しちゃおうか!」・・・ということで、全員が、模造紙1枚に自分が発表した英語をびっしりと書き込み、個性豊かにレイアウトして、廊下いっぱいに展示しました。自分の作品の前で撮った生徒一人ひとりの写真がなんとも素敵でした。(今回ここに紹介できないのが残念!)
Johannes Vermeerの絵を題材にした教科書の英文を参考にして、「自分を支えてくれる何か」を書き出し、それについての必要情報、それが好きな理由3つ以上を書き加え、最後に、それがどんな支えになっているかを書くという授業です。
生徒たちは、スマホを使って、自分が見せたい絵や音楽や本を探し/ワークシートのテンプレートに沿って穴埋めから英文を書き始め/分からない単語や表現を辞書で調べたり、友だちに尋ねたりと活動を進めますが、「センセー、お手本見せてよ!」の声…これに応えた齋藤さんのDemo 1は"The Kiss by Gustav Klimt"。
生徒たちは、分からないところの教え合いやShow & Tellの練習ごっこを積み上げて、クラスの前で見事なスピーチを披露しました。もちろん齋藤さんもDemo 2"Tegami by Okabaya- shi Nobuyasu" で自己表現しました。
全員の発表が終ると、「これ、クラスで見せ合うだけじゃ、もったいないよね」、「来月の文化祭で、発表しちゃおうか!」・・・ということで、全員が、模造紙1枚に自分が発表した英語をびっしりと書き込み、個性豊かにレイアウトして、廊下いっぱいに展示しました。自分の作品の前で撮った生徒一人ひとりの写真がなんとも素敵でした。(今回ここに紹介できないのが残念!)
「クラスを持つにあたって」
齋藤さんは、次のように述べています。
<生徒一人ひとりへの配慮>
- 教室が一人ひとりの「安心できる居場所」となるような、存在認識のあり方
- 「今もつ力のちょっと上を目指す」チャレンジを行うことの奨励と評価
- 各自の行動選択に対する責任を自覚できるような、ことばかけ
<クラス全体としての狙い>
- お互いの弱さや傾向を「個性」と捉えて、補い合える関係作り
- 自分を表現しようという意欲を認め合い、助け合える関係作り
- 授業への積極的な参加も、消極的な存在も包括する「ドラマツルギー」
生徒の見立てと軌道修正
年度当初の生徒たちは、学力差が大きい/学習意欲の波が激しい/理由のない欠席あり/授業への忘れ物が多い/学習活動への取り組みが受身的、と捉えて、次のように「軌道修正」を行います。
- ペアやグループの活動を取り入れる
- 興味をそそる身近な題材をあつかう
- 欠席の理由によって、声かけを変える
- 授業の最初に持ち物チェックで観察する
- 教室内で「動き」のある活動を増やす
夏休み前頃になると生徒たちの様子は、クラスメートの存在に興味を持ち始めた/欠席理由を自分で言いに来るようになった/忘れ物が少なくなった/活動への関わり方に、個々の生徒差が出てきた/生徒間の学力差が開いてきた。そこで次の「軌道修正」は、
- 生徒が意見を交し合える活動を増やす
- 欠席連絡の方法を生徒に委ねる
- 持ち物チェックをテストに出題する
- チャレンジを評価する/手抜きを戒める
- 授業アシスタントを介入させる (単位制高校なので、以前齋藤さんの講座を履修した生徒で空き時間になっている生徒にアシスタントとして入ってもらう。)
冬休み前頃になると、生徒たちは、
- クラスメートの個性が分かり始めた
- お互いの苦手な部分を認め合い始めた
- 自分の弱さを表現できるようになった
- クラス全体で学び合う雰囲気が出てきた
- 自分たちの英語を発信する意欲が出てきた(討論では、「上の3つがあるから下の2つが出来るんだよね。」の意見も。)
そこで、齋藤さんは、授業を次の段階へ発展(第三の「軌道修正」)させます。
- 自分の identity を考える活動に取り組む
- 自分の「来し方行く末」英作文を発表する
- ジグソー法などで「学び合い」を導入する
- 文化祭での展示発表に取り組む
そして生徒たちは、「テスト最低点73点、平均点84.5点」という結果に到達しました。
齋藤さんはまとめ的に「大切なことは・・・」として
- 1年後には、こういう生徒を育てたい、こういうクラスにしたいというヴィジョンを持って・・・
- まずは生徒の実態や傾向を見立てて、軌道修正しながら・・・
- 生徒の変化に寄り添って、活動の負荷を高めたり下げたりしていく
- キーワードは・・・「安心」「挑戦」「勇気」
と語ってくれました。
齋藤さん、今回もまた素晴らしい実践の報告をありがとうございました。
(文責:加藤)
日時: | 2016年3月13日(日)14:00 ~ 17:00 |
場所: |
前橋プラザ元気21 5階・第509学習室 (エレベーター前の通路と反対の通路の部屋です。→平面図) 前橋市本町2-12-1 Tel 027-210-2199「中央公民館(前橋プラザ元気21内)」
※JR前橋駅から徒歩10分/中央前橋駅から徒歩5分
※北側の道路を挟んですぐ向かいの立体駐車場の他、指定の駐車場があり、参加者は無料で利用できます。(上の地図の緑色の箇所) ただし、北隣の立体駐車場は混雑する可能性があり、入るのに時間がかかる場合があります。
※駐車場空き情報(右のQRコード) |
内容: |
|
参加費: | 会員=無料 未会員=資料代 300円 |
連絡・ 問合せ先: |
加藤彰男 見城昌平 |
(2016年2月4日掲載/4月7日更新)
各大問ごとに意見や感想を出してもらいました。全体としては「これは!?」というような大きな問題点は出ませんでした。
以下に発言メモを紹介しますが、例会に参加できなかった方も、メールで加藤宛てに、入試問題についてのご意見・感想をお寄せください。