■ 東京新英研9月例会

2015年9月
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東京新英研・9月例会を報告します。会場はエデュカス東京 5F 参加者18名でした。

海外派遣 アメリカ生活ミニレポート

堀 恵美子さん 
カット 現在、中学校の少人数授業(AETとの授業も少人数で!)で試行錯誤をされている堀さん。
海外派遣の体験を生かした、授業をライブで再生してもらいました。
Ms Hori in America Bingo の紹介(「scaffolding (足場)積み重ねを意識した授業展開」が興味深いものでした。)4択の英語の問題を出し生徒はA~Dの選択肢を番号の中に書き、合っていれば〇で、ますが繋がったらBingoになる活動。
What store was there near my host family's home ?  Daiso! など興味深い質問もありました。滞在中の写真を見せ、英語で説明される。耳に優しい語り口で、授業の雰囲気を感じ取ることができました。堀さんの言葉「海外研修では現場を離れて、じっくり集中して学べたのがとても良かったです。Discussionが多く、自分の意見を持ち、きちんと伝えることの大切さを再認識しました」
「行く前と行ったあとで、ここが変わった授業はどこですか?」の質問には、「目の前の子供たちの実態に合わせて、いるのでそんなに大きく変わっていないけれども、音声などを取り入れること、新しい視点を入れることで、自分の意識が変わっていると思います。」と語りました。

常勤講師奮闘記 ~ワークライフバランスを求めて

青木 琴美さん
カット  現在、中高一貫の私立学校に勤務する青木さん。"中学・高校合わせて4つの学年で、6種類の授業を担当"されていると話されました。日々の授業準備を想像し、「自分だったら、やれるだろうか?」と考えました。いろいろな制約の中で、日々、授業を創っておられる青木さんの奮闘ぶりが伝わってきました。

青木さんの授業目標
  1. ①  最終的には、英語で自分の意見が発信できることを目指したい。
  2. ②  声をだして英語を読むこと、英語を聴くことに慣れさせたい。自信を持たせたい。
  3. ③  英作文の練習を取り入れる。少しでもまとまったものを書けるように機会を設ける。

1時間の授業展開(中学2年生の場合)

 ① 英語で挨拶 ②小テスト ③すらすら英会話 ④教科書の内容学習

中学生のためのすらすら英会話100」(瀧澤広人著・明治図書) を実践してみて
  1. すらすら英会話のシートを配る ⇒ ノートの表紙の裏に貼らせる
  2. 読み方(発音)を確認し、教師の後について数回繰り返す。
  3. 教師が左側、生徒が右側を読む(これが既に、質問形式の会話になっている。)
  4. 生徒はペアで、ジャンケン。勝った人質問、負けた人答えを読む。
  5. すらすら英会話のシートの質問を上から順に練習

 ペアを組んで、ジャンケンをして役割決定。"Ready,Set.Go"の合図で会話をスタート。様子を見て終わりそうなペアがあるとそこで "Time up!"(約40秒)ペアを変える。(回転寿司のように2列を回っていく。)繰り返し5~8回行う。何度も繰り返すことで慣れていく。

すらすら英会話を行って・・・・。

 青木さんの感想 

  • 授業の最初で行うので授業が活気づき、元気になった。
  • 教室内に英語を話す雰囲気ができた。
  • 文法項目が会話でどの様に使われるのか、文法の使い方を学ぶことができた。
  • 書かれたQAを読むだけなので誰でも簡単にできた。 等

 生徒の感想 

  • 英語を話すことに慣れた。 
  • 相手はどのような質問で聞いてくるのか感覚でわかるようになった。
  • 楽しみながら英語が学べるのでいいと思います。
  • すらすら英会話楽しいです。英検3級受かりました。

楽しい多読で力をつける

諫山和可さん
カット  長年、都立高校で勤務された諌山さん。現在は私立高校で、これまで新英研で学んだ、実践を生かした授業づくりを進められています。
 今回は、都立高校で、実践されてき英文(英書)多読の実践報告をされました。 『中学校3年間で、かなり力が付いているが、自分の力で英文を読みきるという体験はまだ少ないのではないか?』と考えた諌山さん。そのことが多読実践のきっかけでした。
 諫山さんは、多読を通して高校生に次のことを願いました。

  • 教養を身につけてもらいたい。
  • 英語文化の背景を知る・日本の文学を知る・現代を知る・人生を知る
  • 英語学習を通して、本当のことを見る目を養う

指導方法

  1. ① 自宅学習を基本とし、土日(長期休業中も)利用し一定量(1回に10ページ程度)を継続(2年以上)して読ませる。
  2. ② 木曜日に質問プリント(10ページで10問、話の流れを問う)を渡し、月曜日に回収する。
  3. ③ お互いに感想を読み合うことで、作品の理解を深める。
  4. ④ 教師が生徒の読了を簡単に確認できるシステムをつくる。
  5. ⑤ 教科書に入っている、本課以外の読み物教材も利用する。

評価

  1. ① 定期考査で1~2割程度出題。易しい問題
  2. ② 提出した質問プリント

高校生に人気のあった作品

  1. 高1:Anne of Green Gables , Romeo and Juliet , Black Jack , The Fireflies Graves
  2. 高2;The Return of Sharlock Homes, Round the world in 80 days, Prince of Egypt
    (新英語教育 2008年1月号の記事より)

以下は、報告の中で、追実践をする際に、ヒントになりそうな諌山さんや参加者の言葉です。

  1. 直読直解、家庭学習でやるものなので、授業よりもはるかにやさしいものに取り組む。
  2. 2年間は継続して取り組む。 物語を読んだら、簡単な感想(日本語で)を書いてもらい、全体へフィードバックしている
  3. 古典(より具体的に)は人気があった。 最近はナウシカなど生徒にとって長文で易しい内容のものを発掘中。
  4. ブラック・ジャックつかって、宿題で使ったら、みんなはまってしまった。
  5. 日本の物語の英文を読ませて、このタイトルはなんとういう日本語の物語ですか?というのも面白い。
  6. 高校の読み物は、評論文ばかりで、物語を読ませるのは大切ではないか?
  7. 中学の時、「全部和訳すること」という宿題で、英語が嫌いになった高校生がいた。全訳はさせていない
  8. 三友社のサイドリーダー教材集使える。アイディア・ブック第11巻も役に立つ。
  9. Very easy true story というアメリカの教材は教室で使える。内容も面白い。
  10. Reading Tree というサイドリーダーは、挿絵が多く、可愛らしく、中学生には人気があった

参加者の感想より

堀さんへ  楽しいBingo のやり方を教えていただき、ぜひ自分でもやってみようと思いました。

青木さんへ "多忙さゆえに人間らしい生活ができない" これは今、多くの教職員が直面していることだと思いました。新しい環境の中で、子どもたちのために一生懸命に取り組んでおられる青木先生を応援したくなりました。

諌山さんへ 多読の具体的方法を知ることができて良かったです。『良い教材をあれだけ発掘されるとはすごい!』と感じました。

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(2015年10月18日掲載)