■ 神奈川新英研2月例会

2011年2月
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2月3月4月5月
 
2012年2月18日 大倉山記念館にて 参加者17名
  1. 参加者交流
  2. 中学実践報告
  3. 高校実践報告
  4. 例会概要

●近況,最近取り組んでいること

  • 次の4月から取り組もうとしていることは「洋書を1冊テキストにする」(検定教科書は速読教材として使用),「DVD教材を使用する」(生徒のアテンションをゲットしやすいから)。
  • 大学入試を視野に入れた指導(長文速読、日英記述力、自由英作文、和文英訳)
    転職活動(私立中高一貫校:都内(1校内定)、県内(1校内定)※まだまだ続く…)
    長男が私立中にやっとのことで合格。
  • 小中連携について
  • ペアワークまたはグループワークをすべての授業で取り入れる
  • 音読をいかに生き生きとした意味のあるものにできるか
  • 教科書1ページ10行くらいを4人班4グループで分担して訳と解説をさせる

●授業でうまくいかず悩んでいることなど

  • 帰国子女と日本育ちの生徒との調和を図ること。帰国子女の日本語記述力をいかに高めるか? 一応指導プランは完成してはいるが。私立での先取り授業のあり方(受験優先の弊害?!)
  • 来年度の授業計画について
  • ほぼオールイングリッシュで行う授業の年度初めの導入方法
  • 単語テストでは(8〜10個)満点の生徒が多くなったが、長期の暗記に結びつかない

●事務局への意見

  • ドン引きになるかも知れませんが、私学の進学校もレポートに入れて欲しいと思いました。鋭い指摘をさせて頂くのであれば、公立よりも私立の中学へ入学させたい親の気持ちが分かってしまいます…
  • 授業で使えるゲーム。遊びの要素だけでなく文法力や語彙力が付くようなものがあれば知りたい。

●中学実践報告:「コミュニケーション能力の基礎を育成する授業作りをめざして~小中のつながりを意識して~」

松浦美代子さん(大和市立渋谷中学校)

 光陰矢のごとし。1年目に初々しいレポートをしてくださった松浦先生が11年目だということでビックリです。

松浦先生

  • 教職11年目。10年目研修と大和市の外国語教育研究部会で発表した。
  • 24年度から,大和市は教科書がNew CrownからSunshineに変わる。自分を表現する場面があるので,プラス1時間できるのでそれを意識した授業にする予定。
  • 勤務校:1年4クラス,2年5クラス,3年3クラスの計12クラス(390名)。外国籍の生徒と保護者が外国籍の生徒は65名。いちょう団地でインドシナ難民を引き受けていたため。たいていの生徒は日本で生まれたので困らないが,ときどき外国生まれの生徒がいるので厳しい。ベトナム,ペルー,カンボジア,ラオス,中国の順で多い。
  • 授業時間:23年度は1年3時間(1時間TT),2年前期は3時間(1時間TT)後期は4時間(選択1時間で1年からの復習),3年4時間(1時間は少人数で1年からの復習と受験対策)。年間10回AETの授業があり,恵まれている。

授業

  • 小中連携を意識した授業「合言葉」「チャンツ」「グループ活動」:学区内の小学校の外国語活動では,合言葉「コミュニケーションのあいうえお」(あいさつ,アイコンタクト,うなずく,えがお,おれい)が生徒に浸透している。そこで英語で,HEARTS(Hello, Eye contact, Answer and Reaction, Thank you, Smile)という合言葉を取り入れた。また,小学校でも行われているチャンツ(リズムに合わせて言う)やグループ活動を取り入れた。
  • 場所を案内する:
    1. ① 導入(10分):あいさつ,前時の復習 チャンツで「場所を表す前置詞」(next to / in front of / between)をリズムボックスに合わせてALTと発音。JETとも3段階速めたリズムで音読。
      そのあと「店の名称」(doughnut shop / ice cream parlor / supermarket / barber / department store / bank / entertainment store:生徒が気に入っていたのはbarber / entertainment store)
      「対話(Dialogue)」を復習。
      A: Excuse me. I want a book. Where is the bookstore?
      B: It's next to the restroom.
      A: Next to the restroom?
      B: That's right..
      A: I see. Thank you.
      B: You're welcome.
      ワークシート:shopping list(買い物リスト)
      1F:a pumpkin (supermarket), some candies(sweet shop), some balloons(100-yen shop)
      2F:a CD (entertainment store), a hat(department store )
      3F:a bag (department store ), a book(bookstore), some candles(DIY shop)
    2.  展開(35分)
      1) ハロウィーンパーティの買い物に行くという設定。JETとALTでわざと悪い見本を見せる。そしてHEARTS(Hello, Eye contact, Answer and Reaction, Thank you, Smile)を貼って,1つずつ振り返る。実践的コミュニケーションとは「思いやりの心」と考えている。その育成のためにHEARTSを意識させる。
      2) 4人グループで2人が客,2人が案内役。練習した後,発表する(ALTが案内役,1グループが客役)。
    3.  まとめ(5分):振り返りシートの記入(活動を振り返って思ったことやペア・グループの良かった点を書こう/3段階評価(ABC):楽しかったか/HEARTSは意識できたか/相手に分かりやすく場所を訊いたり伝えたり出来たか/ペア・グループで協力できたか)

質疑応答+意見交換

  • Q:(小学校ではよくしているが)チャンツはジェスチャーはつけますか?
    A:in front ofなど,場所の前置詞のときに物を置いたりして示した。
  • Q:外国籍の子どもたちがクラスにいるが,平和そうに見える。
    A:かつては荒れていたが,校舎が移転して生徒が落ち着いた。外国籍の親御さんは話が通りにくいということがあるが,通訳の方と連絡をとって話しているので大丈夫。
  • Q:活動に参加しない生徒はどうするか?
    A:ペアワークで2人ともだんまりにならないように,組み合わせを工夫する。1人ずつの活動ではなるべく,私から話しかけていく。3人ぐらいそういう生徒がいる。
  • Q:こういう授業を2,3年生でも出来るか? また,ALTなしでも出来るか?
    A:TTでなくてもやっている。2ヶ月に1回,会話を楽しむという授業をしている。
  • Fさん:スポーツの習得に似ていると思った。体育の授業を英語でするというのを観たことがある。子どもが笑っているのが良かった。
  • Q:文法説明はどうしているか?
    A:授業でターゲットセンテンスを使って,オリジナルの文を書かせるようにしている。その場で教えたり,みんなが必要なものは板書したり,ワードバンクのように語彙を示している。
  • Q:「~年生」をあらわすgradeとyearの違いは?
    A:特に指導はしていない。
  • Q:ALTにお任せですか?
    A:ラブ先生はご自分でプランを出すので,こちらからは注文をつける感じ。
  • Q:ALTはみんな明るい人ばかりではないが,困ったことは?
    A:急に休む人がいたりしたので,困ったことがある。
  • Wさん:3つ意見です。
    1)(CDs / magazines/ books「CD/雑誌/本」などの種類の違いを説明するような説明文ではなく)具体的な場面では,a CDを複数にするとsome CDsなので,someをつけてほしい。
    2)複数形のWhere are they?も扱って欲しい。It's ~.ばかりになっている。Where are my glasses? They're on your head.(メガネどこ? 頭の上だよ)のように。
    3)Where is the toilet?とNew Crown 1にはあり,私はおかしいと感じているが,ちゃんとWhere is the restroom?としているので安心した。
  • Q:between(2つの間)とamong(3つ以上の間)の違いを教えているか(教えた方が良いと思う)?
    A:授業中に辞書を使ったりするが,これは扱っていない。
  • 専属のAETがいないのはかなりつらいですね?(JTEとの連携はけっこうつらい?) 大学との連携が教員レベルで出来るのは大事ですね。週の単位時間が少ないのは大変ですね?…これで全て網羅するのは…コミュニケーションを図る時の心理をHEARTSと称して上手く伝えているのが良い。(駆け引きも含めて対話を膨らませる手段) チャンツは動機付けとしてはかなり使えるとは思うが、語句の使い方をもっと文法も含めて詳しく説明する必要があるのでは? 実際に場面の中でロールプレイで"Don't be afraid of making mistakes!"を意識させることができるので非常によい。スポーツの技能習得とかなり共通点が多いので、体感している生徒が常に笑顔を絶やさずに楽しそうで良い。例えば各グループに買うものを決めさせる上で家庭生活の条件(趣向、親の職業による購買(消費)行動の意欲の変化など)を設定してロールプレイするなどの工夫があると面白くなるのでは?
  • とても楽しそうに取り組んでいる大和の子供達を懐かしく拝見させてもらいました。
  • コミュニケーション重視の授業は私の目標とするところなので参考にしたいアプローチが多かった。
  • ALTの関係性というのは公立と私立でだいぶ違うと思いました。私の勤務校では専任3人、学生ボランティア2人というネイティヴに恵まれた環境ですが、逆にバランスが難しくなってしまう部分があると思いました。ペアワーク・グループワークをうまく回すのが本当に難しいと思っているので参考になりました。
  • ALTとの授業をどう進めて行くべきか現在の私の問題です。
  • 3年生になってまで「3年週4回のうち1回は少人数で1年からの復習と受験対策」とあり、なんで3年になってまで「1年からの復習」なのかと思いました。大和市内9校中で8,9番目の学力とお聞きし、納得できました。授業以外のご苦労も多いのではと推察します。

●高校実践報告:
「全ての子にやさしい授業デザイン ~特別支援教育を授業に組み込む~」

窪田健一さん(東京・私立高)
 「常に笑顔」を実行し続けている窪田さんの笑顔をみなさんがご覧になったら,「先生、なにかいいことあったの? 結婚したんですか?」と,生徒が口にしたというのが本当なのだと思われることでしょう。みなさんも教室に「笑顔」をもたらしてください。きっと何かが変わります。

窪田先生

  • レポーターから: 4月の授業開きから特別支援教育の手法を取り入れて,「常に笑顔」「チャイムと同時に授業を始める」「絶対に大声で叱らない」「増やしたい行動は褒める」「授業開始時は全員が取り組める活動を行う」など,10のポイントに絞って「全ての生徒にやさしい授業」を始め,生徒の反応は劇的に変化しました。この1年の生徒の変容をご報告します。
  • プロフィール: 大学卒業後、私立高校の非常勤講師を計5年勤め、2010年4月から現職。出発点は高校時代の英語の挫折にある。「全員が力のつく、シンプルで熱中できる授業」が理想。最近は様々なジャンルの本を多読するのが楽しみ。
  • 学校:私立商業高校14クラス(男子349名,女子171名,計520名)。1クラス33~41名。大学進学(推薦で)6割。専門学校3割。就職1割。(大学入試対策よりも)全商英検の対策が必要。

授業デザイン

特別支援とは?
発達の違う生徒一人ひとりを個別に支援する。
発達障害とは?
「発達の凸凹+適応障害=発達障害」(杉山,2011Amazon.comのサイトを別のウインドウで開きます
人間の発達段階における差異が、社会的に不適応とされたとき、発達障害とみなされる。医学的に病気とみなされている。例:自閉症スペクトラム障害 ADHD
授業中の特別支援とは?
全ての生徒にやさしい授業。発達の違う生徒(短期記憶できる量[ワーキングメモリ]が異なる生徒,また,視覚情報を好む生徒と聴覚情報を好む生徒が教室には混在する)それぞれが授業内容を理解できて,「授業に参加してよかった」と思える授業づくりだと考えている。
●具体的な方策
  1. 常に笑顔:安心感を与えることは授業づくりの基本。笑顔を見せるだけで生徒は安心する。「セロトニン(安心感を高めるホルモン)を分泌させる。」(平山,2011)
  2. チャイムと同時に授業を始める:チャイム通り始まらないと生徒は不安・不満を感じる。小さなことだが大きな混乱を招く一因。また、遅刻生徒の判断と対応が確実にできる。準備してきちんと着席している生徒をほめてから始業する。
  3. 始業・終業時の号令、あいさつをしない:号令はきれいに揃わないと達成感を与えられない。一気に授業に入り、毎回安定した導入を作る方が良い。
  4. 絶対に大声で叱らない:叱られている生徒は、なぜ自分が怒られているのか理解できない。先生の怒っている表情や声が印象に残り、生徒が授業から離れる。
  5. 増やしたい行動は褒める:些細なことでも取り上げて,声に出しておだてる。「Textbook. Page 50.もう開いている。えらい!」「ノート持ってきているね。」生徒は褒められたがっている。全員がわかる指示を出した後、支援対象の生徒をよく観察し,どんどん褒めていく。活動していない生徒を注意するのではなく、活動していた生徒をほめることにより、活動していく生徒の集団を増やしていく。
  6. 減らしたい行動は笑顔だけで対応する:注意ではなく,「無視」する。「面倒くさいよ、やだー」などという言葉は取り立てず,対象生徒が集中できる活動を授業に組み込み,その活動をし始めたら「えらいね。」と褒める。
  7. 余計な言葉を削る:"Well…" "OK…"「えーと…」「では…」を削る。一度,自分の授業を録音して聞くとよくわかる。Repeat after me.よりもRepeat.と言ったほうが確実に伝わる。ワーキングメモリが少ない生徒への支援。
  8. 授業開始時は全員が取り組める活動を行う:授業の最初から難易度の高い活動をしてしまうと、出来なかった生徒はやる気になれない。「単語の音読」「単語のなぞり書き」は有効な活動。
  9. 授業を細かいパーツで組み立てる:全ての生徒が活躍できる場面を作れるよう,様々な活動を1つの授業に盛り込む。順番の決まった「帯活動」にすることで,急な予定変更にパニックになりやすい発達障害のある生徒も,授業展開に見通しが立つので取り組みやすい。(会報担当から:「急な予定変更にパニックになる生徒」がクラスに必ずいると考えた方が良いと思います。黒板にその時間にする活動の順番を書いておくというのも有効です。)
  10. 始めに全体指導をし,それから個別指導をする:「○○君、またおしゃべりばかりして!」など、特定の生徒への個別指導を先に行うと,他の大多数の生徒が何をすればよいのかわからなくなる。全体に活動を指示してから、個別対応する。
  11. 生徒が教材を忘れていることを想定し,教材のコピーと鉛筆5~6本を授業に持っていく:これを始めてから,授業で生徒に忘れ物への指導をすることがなくなった。教員の負担が確実に減る。忘れる生徒は特別支援が必要な子。
  12. そのときの良くない行動が直らなくても,追い込まない。生徒の変容を待つ。どんなに時間がかかっても,生徒が内側から成長することを信じて指導していく覚悟が必要。
  13. 生徒一人ひとりと視線を合わせる:「セロトニン(安心感を高めるホルモン)を分泌させる。」(平山,2011)
  14. 生徒を個別に評定する:誰ができて誰ができていないのかを明確にすることで、できていない生徒の目標になる。椅子に座っていたら「百点!」と言ってあげる。
  15. 見通しを立てる:「音読メーター」と呼んでいるが,教科書の右上に丸を10個描かせ,10回音読することを最初に示す。

授業(雑誌の記事から抜粋)

  1. 典型的な授業パターン(50分) 教具:教科書,ノート,単語練習シート(B5)
    ①単語練習(新出単語5語) 10分
    ②音読練習の準備 5分
    ③音読練習 10分
    ④内容に関するQ&Aの準備 2分
    ⑤内容に関するQ&A 10分
    ⑥構文・文法・語法に関するQ&A 10分
    ⑦活動の評価 3分

    ①「英単語スキルシート」:始業と同時に配布。
    • Step0 5語(シートには10語)の新出単語のモデルリーディングをして発音練習。モデル→モデル→「No. 1」と声をかけ,生徒が発音。No. 1~5まで行う。
    • Step1 Finger Writing「机の上に指で書いて覚えよう」
    • Step2 Trace Writing「指で正しく書けるようになったら,鉛筆で丁寧になぞろう」: なぞり書き(文字を薄く印刷)の欄は,全員が無理なく取り組め、書く作業をすることで私語がなくなり、集中している状況を生み出す。特別支援対象生徒への個別対応がしやすくなる。
    • Step3 Copy Writing「手本の字をよく見て,丁寧に書こう」

      Step1Step2Step3
    1.①Aに乗り込む
    ②Aに陥る
    get into Aget into A 
    get into trouble  困ったことになる 
    2.野原 field field 
    3.動く 動かすmove move 
    4.skysky 
    a cloudy sky 曇り空
    5.①Aに話しかける
    ③Aと話をする
    speak to A speak to A 
    speak to her 彼女に話しかける

    「プレテスト」「テスト」:「英単語スキルシート」のテストをする。 「コースを選んで挑戦しよう」【目標時間:1分】と書いてある。名前の記入欄の下の「5問コース(20点×5)」「10問コース(10点×10)」の欄にチェックをつけてスタート。窪田さんによれば「ワーキングメモリ(一度に覚えられる「短期記憶」の数)は7と言われる。やんちゃ系の生徒は1~2かもしれない。5問にしておくことで,100点をとらせて達成感を与える。」という意図がある
  2. ②音読練習の準備:モデルリーディングし,教科書本文に直接スラッシュを入れさせる。英語の発音に何らかのトラウマを抱えている生徒も取り組みやすく、活動の評価の時(⑦)にさりげなくほめれば達成感を与えられる。
    ④内容に関するQ&Aの準備:⑤のQuestionに対する解答欄をノートに作らせる。Questionが4問なら、一行空きで①から④まで数字を書かせる。
    ⑤内容に関するQ&A:黙読での内容理解を目的とした活動。それまで積極的でなかった生徒も巻き込めるような簡単な質問から始め、テンポよく質問する。 (質問と指示例)「No.1. 何についてのお話ですか。ノートに書きます。」 答えはノートに必ず書かせている。答えを言うとき、書いてある答えを読めば、生徒は発言時にプレッシャーを感じない。Qをノートに書かせていないが、自主的に書いている生徒は個別にほめている。
    ⑥構文・文法・語法に関するQ&A:主語と述語を見つけさせる。文の意味の全体理解を自分でつかませることを目的としている。 (質問と指示例)「SVは何ですか。下線を引いたら持ってきてください。」 元気な生徒は喜んで持ってくる。
    ⑦活動の評価:「チェックをもらった人から休憩です。」という指示を出した後、机間巡視をしながら、ノートを評価します。例えば内容に関するQ&Aが書かれていればA評価というように、明確かつ瞬時に評定できる基準だと短時間で終わる。あくまで達成感を与えることを目的としている。
  3. 生徒の反応:4月の授業開きから、生徒の反応は劇的に変化した。
    例1)「先生、なにかいいことあったの?」「結婚したんですか、先生?」「無視ですか、先生!」 笑顔だけで対応し、授業展開を安定させる。 反応をなかなかしないクラスもある。
    例2)「Repeat. In recent years.」「(生徒沈黙)」「In recent years!」「(生徒沈黙)」 いかに復唱させるか。こんなときの一言は…「まだまだですね。」 ここで叱ってしまうと、余計反応しなくなる。ユーモアを入れて挑戦を促す。
  4. 教師の変容:  特別支援関係の勉強会に参加し、関連書を読み、その考え方を今年から意識的に授業に取り入れ,本実践を始めて、何よりも私の生徒を見る目が劇的に変わった。生徒の良いところを探し,笑顔でほめると、生徒も笑顔になる。活気あるクラスにするには、まず指導する側が元気になることが一番大切。

模擬授業

  • 例会の中で模擬授業をしてくださいました。 「授業開始10分の単語練習」は,英単語スキルシートを使用。 「音読練習」は,ENGLISH NOW I p.97 のFly Away Homeを使用。
    1. 「音読メーター」と呼んでいるが,Draw ten circles.と指示して,教科書の右上に丸を10個描かせ,10回音読することを最初に示す。
    2. スラッシュをつける。先生が音読して「コン」と1つ叩いたら1本,「コンコン」と2つ叩いたら2本引く。Check with your partner.と指示。2回読んだらColor two circles.と指示。
    3. 音読:スラッシュ一つおきに読むのを「先生と生徒で交互に」「男女で」「左右に」など役を変える。コーラスリーディングではRead with me.と指示。

授業ビデオ検討

  • 2年生 英語Ⅰ 使用教科書 ENGLISH NOW I(開隆堂)
    <授業の進行>
    導入(20分)プリント問題演習(期末テストの試験範囲)
    展開①(10分) p.96本文の音読  
    展開②(5分) p.97第1段落音読準備(音読メーターの記入,スラッシュの記入,模擬授業2と同じ形式) 
    展開③(5分) p.97第1段落の音読(模擬授業2と同じ形式)
    展開④(10分) p.97第1段落のフレーズ訳の完成 

  • 本時で初めてプロジェクタを導入した。黒板の左側に教科書のページをそのまま写しだし、チョークで音読メーターやスラッシュを入れて、視覚支援を行った。
  • <指導の実際>
    1. 教室にプロジェクタを持ち込んだ時点で一部の男子生徒が教卓に集まりだす。このところ発言がなくなり、突っ伏したりすぐにおしゃべりを始めていた生徒である。「先生のですか」「買ったんすか」。試運転で黒板に映像を写した時点でその生徒たちがどよめきの声。
    2. 導入ではプロジェクタを使用せず。授業開始時から寝てしまっていた生徒を起こすことができなかった。
    3. 展開②で黒板に教科書のページを写しだし、チョークでスラッシュを入れる。チョークで書いたスラッシュが光り、生徒から「すげえ」「考えたな」というどよめきの声。
    4. その後指導中、発言がなかったやんちゃ生徒からどんどん発言が生まれる。起きている生徒ならほとんどの生徒が発音し、質問には楽しそうに答える。まじめな生徒+やんちゃ生徒の授業参加が実現。
    5. 指導中何度も「これわかりやすい」「これなら英語のテストいけるわ」とやんちゃ生徒の感想が飛び交う。
    6. 授業終了後、寝ていた生徒1名が寄ってきて、「先生、これむっちゃわかりやすいです。俺,英語頑張ります。」と発言。
  • <検討・今後の課題>
    1. 視覚支援をしただけで活躍する生徒メンバーに変化。
    2. おそらく他の授業パーツでも視覚支援が必要なものがあると推測できる。
    3. プロジェクタを利用したOral Introductionの導入を検討したい。

参考文献

質疑応答+意見交換

  • 例えば,This is my sister.とリピートできても,実際には一人で読めない生徒が居る。それはフォニックス指導や一対一で観て上げる時間が足りないからだと思う。
  • Q:教科書は3行扱ったが?
    A:今までは3行だったが,6行できそう。
  • Q:音読は,個別やペアは?
    A:ペアワークには踏み切れない。
  • Q:定期試験は?
    A:文法のForestが40点分。2択,穴埋め,選択か並び替えで70問ぐらい。英作文は出していない。
  • Q:一般入試の大学に生きた生徒のケアは?
    A:個別対応する。
  • Fさん:スイッチリーディングでは和訳を入れている。テスト前にすると15点ぐらい平均点が上がる。授業中に生徒に班(ペアや4人)で和訳を作らせると伸びる。 窪田さん:和訳の穴埋めプリントをテスト前に配って予習させている。
  • Q:窪田先生は生徒に評価するときに「70点」など口頭で言われるが,成績・評価につけている?
    A:いいえ。「100点」ばかりでなく,よく「2点!」と言ったりもする。
  • Q:真面目な生徒は不満を持っていないか?
    A:真面目な生徒はノートにAを付けたり,小テストでほめたりして信頼関係が出来ている。
  • Mさん:トイレに立つ生徒を叱らないようにすると,3学期には生徒と信頼関係が出てくる。窪田先生に拍手を送りたい。
    窪田さん:生徒は誰からもほめられたことがない人が多い。英語が出来ないというレッテルを貼らないように明いた。例えばaskedを「言った」と訳しても認めてあげる。
    Tさん:ほめる,おだてるぐらいでやったら,生徒は黒板で書いてくれるようになった。
    Fさん:素敵な笑顔とエネルギーを感じた。上位の進学校の先生方に学んで欲しい。
    窪田さん: 400度がテーマ(=自分が熱く燃えるということ)。そうすれば,生徒は200度になる!
    Tさん:English Nowは難しい。映像が好きな生徒が多い。
    窪田さん:映像はそろそろ授業でやりたい。
    Iさん:他のアクティビティを入れた方がよい。授業での訳読式は短くしないと危険(生徒が集中しなくなる)。40分授業で20分もたない。救ってくれたのは誰でも出来る「単語練習」だった。何かを入れることで自分がつぶれない。「言葉を削る」「チャイムが途中でも授業を終了する」はよく分かる。
    Tさん:もっと他のアクティビティを入れた方がよい。
    Fさん:「スラッシュのところで1つずつ日本語を入れてみよう」にする。プリントで「スラッシュの下に日本語を書かせて,日本語らしい語順にさせる」。
    Iさん:もっと和訳でヘルプした方が良い。Gさん:訳読で盛り上がるのはいいなぁ。

参加者の感想

  • 「いま何をすべきかわからない→私語,騒ぐ」
    「この活動がいつまで続くか見通しが立たない→不安」
    「この活動に何の意味があるのかわからない→やる気がおこらない」…ということが生じないように上手に舵取りするのが教師の役目だということを再確認しました。
  • 条件反射を上手く利用している。独特の間の取り方が上手い。苦手な生徒の載せ方がリズム感あるテンポで上手い。中途半端に学力にプライドを抱く生徒の方がタチが悪いと思う。私立の底辺校ではやはり礼儀(マナー)の指導が大事。お笑い芸人のネタフリがかなり利用できる。生徒を良い意味でいじっている。私立の進学校の教員は実はいい加減なルールで授業しているケースが多い。("見下し"から生じる油断が怖い?!)スイッチリーディングはレベルに関係なく効果大(和訳も入れると?)中にはできる生徒もいるはずなのだが、その生徒が退屈気味だったらどう対応するか?例えば「難関大学に入りたい!」と生徒が向う見ずに言ってきたら、本当に面倒見られるのか? この授業が軌道に乗るまで様々な葛藤があったと思います。その執念と粘り強さに心打たれました。公文に来る前の学校(スタンダードクラス(部活生多)で私が心がけていた手法がたくさん入っていました。中学年代での学力の底上げを徹底すれば、もっと高校でいろんな項目を扱えるはずなのに… 教員の"演技力"って本当に大事だと思いました。
  • 特別支援の視点からの発表参考になりました。同じ教科書を使用したことがあるので懐かしく思い出しました。今後の研究発表を大いに期待しています。
  • 本校も似通っている生徒が登校しているので、特別支援の観点からの授業展開にはかなり納得できた。
  • 予想以上に大変な現場ですね。でもその中で冷静にかつ生徒を見捨てない窪田先生は素晴らしいです。私の勤務校でもクラスごとの実力差そしてクラス内での格差も激しいので最下層の生徒の指導は難しいですが、見捨てずに頑張ろうと思えました。「コースを選んで挑戦」は私も取り入れようと思っていたので参考になりました
  • スラッシュを最初から入れさせていくアイデアGood! シングルとダブルの区別も良い。指示は1語でがGood! プロジェクターのアイデアGood!
  • 一目瞭然とはこのことですね。私も取り入れたいです。有難うございました。
  • まるで自分の教室である光景であるかのような授業風景を見させていただいている際、窪田先生の生徒に取り組む姿勢に共感賛同したい思いです。
  • 私も大変な中学2校に勤務していましたので、「言葉を削る」の意味は痛いほどわかります。そうしたことが分かったのは転任した年の5月の連休明けに2年の一クラスが授業不成立となって以降でした。そんな中、私が救われたのも「誰でも出来る」単語練習活動でした。窪田先生も同様だと思いますが、タフな学校での勤務が授業をどう積み上げていくかというスリルがありますね。
  • 見通しを立てるとか時間通りに始めることはアスペルガーの子供にとって大切なことで笑顔でいることで安心できると思います。ビデオで見ているとまず日本語の主語と動詞を教えてから簡単な、I walk. You walk. He walks. など日本語とチャレンジしながら同じことを繰り返してみたらどうでしょうか。中1からのやり直しでかなりわかるようになる気がします。本当にお疲れ様です。
  • 会報担当・和田のまとめ:神奈川支部の若手(30代男性!)の山口さんと窪田さんが2年前に立ち上げた「こまどりの会」では,渋谷の会議室で月一回金曜夜7時から11時(!)まで,参加者が授業をどうしたらいいか相談したり,「英語自分史(英語との出会いから英語教員になるまで)」を2時間半も語ったり,窪田さん所有のプロジェクタ(!)でホワイトボードにビデオを映して参加者が授業実践報告したり,社会言語学・発達障害・自己啓発(齊藤一人さん,カーネギー!)など,自分の関心のある本を紹介し合ったりしています。
     窪田さんは,この「こまどりの会」のみならず,他の英語団体(英授研・ELEC同友会),小学校の先生方の勉強会にも出席され,多方面の研修をなさっています。
     そこで培われたのが「特別支援教育」という観点です。「授業以前」の問題を抱えている生徒たちが増えている現在,「筆記用具を持ってないのか」「静かにしなさい」「起きなさい」と,大声で叱りつけることが果たして有効なのか…? 窪田さんは「授業開始時は全員が取り組める活動を行う」「始めに全体指導をし,それから個別指導をする」など特別支援教育を意識した手だてを取り入れ,この1年間で生徒は見事に変容していました(単なる「おしゃべり」ではなく,授業内容に関係する「つぶやき」が教室に満ちていました)。

    ★「こまどりの会」については、新英語教育研究会神奈川支部HP の「★こまどりの会とは」を参照ください。

●日時: 2012年2月18日(土) 午後3:30~7:00

3:20 ~ 受付開始
3:30 ~ 5:00 中学実践報告 [担当:日比]
5:00 ~ 5:15 休憩
5:15 ~ 6:45 高校実践報告 [担当:和田]
6:45 ~ 7:00 アンケート記入・事務連絡
●会場: 大倉山記念館 第1集会室 (Tel. 045-544-1881)
(東急東横線「大倉山」下車 徒歩5分
 改札口を右に出て右折、急坂上る)

より大きな地図で 大倉山記念館までのルート を表示
●会場費:500円(支部会員200円 学生200円)
[当日会員登録(年会費2000円)で割引適用]
●中学実践報告: 「小中連携を意識した,中学校入門期の指導」
松浦美代子さん(大和市立渋谷中学校)
レポーターから:
 大和市教育課程研究協議会外国語教育部会の一員として「平成24年 度からの中学校学習指導要領全面実施に向け、中学校外国語において、小学校外国語 活動とのつながりを意識しながら、コミュニケーション能力の一層の育成を目指した 授業改善のあり方について研究を行う」という研究主題のもとに研究した内容、また 小中のつながりを意識し行った研究授業について発表します。
●高校実践報告: 「全ての子にやさしい授業デザイン
 ~特別支援教育を授業に組み込む~」

窪田健一さん(東京・私立京華商業高等学校)
レポーターから:
 4月の授業開きから特別支援教育の手法を取り入れて,「常に笑 顔」「チャイムと同時に授業を始める」「絶対に大声で叱らない」「増やしたい行動 は褒める」「授業開始時は全員が取り組める活動を行う」など,10のポイントに絞っ て「全ての生徒にやさしい授業」を始め,生徒の反応は劇的に変化しました。この1 年の生徒の変容をご報告します。
●お問い合わせ: 萩原一郎 e-mail

(2012年2月11日掲載/4月27日更新)