■ 群馬新英研9月例会

2012年9月
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 9月23日(日)、あいにくの雨でしたが、「前橋プラザ元気21・40スタジオ」に10名が集まって、きっちり3時間行いました。埼玉支部から柳沢民雄さんにお出でいただきレポートをお願いしました。例会後の夕食交流会も7名の参加で楽しく様々な話ができました。

Ⅰ 実践報告: 『この3年間、埼玉の3つの高校で教えて』
~歌・映画・音読・チャンク読み/「授業は英語で」の方針も考える~

柳沢民雄さん(埼玉・妻沼高校)
例会の様子

 新英研MLに映画「Freedom Writers」の紹介をUPされたことがきっかけで、柳沢さんはすでに「Freedom Writers Diary」を読了し、関連する本なども読まれていることが分かりました。群馬の講読に「ふらっ」と参加の希望が寄せられましたので、講読だけでお帰りいただくなんてもってのほかと、「実践報告」をお願いしました。にもかかわらず、講読に1時間を費やしてしまったので、たくさんの資料を用意してくださった柳沢さんの報告・交流に、2時間しか取れず申し訳なく思います。

「英語の歌で授業を始める」

 群馬での報告のスタートも英語の歌から。参加者の年齢層をご配慮いただいたようで、プレーヤーから流れてきたのは"Hotel California" YouTubeの動画を表示しますの懐かしいイントロ。数人を除いて70年代の自分に戻った気分で歌ってしまいました。
 柳沢さんの自己紹介は「英語の歌で授業を始める」を30余年にわたってずっと続けて来られた、その歌を辿ることでもありました。埼玉県立松山高校、鳩山高校、川越高校、玉川工業高校を歴任。離任式では、お別れの挨拶と共に英語の歌を贈ることを続けたそうです。ステキですね。退職後は再任用で熊谷高校、小川高校へ、そして現在は妻沼高校で教えています。レポートにはこう記されています。「英語の歌への生徒の評価は学校の種別に関係なく常に高いような気がします。英語の歌は学習者の音声面での獲得、語彙の増強、情意フィルター(affective filter)を低める効果など、多くのメリットを持っていると思われます。」

「チャンク読み」

 柳沢さんは1993年川越高校からペア活動とチャンク読みを取り組み始めました。今では、多くの先生がたがslashを用いてchunkに区切りながら直読直解をめざす取り組みをしていますが、これを座席の前後の生徒同士によるペアワークで行う「同時通訳方式」(愛知の弘山さんの実践が良く知られている)で取り組んでいます。この5~7分ほどの活動のメリットとして

  • 教師の喋りたがる悪癖から、生徒を保護する。
  • 教師の言うことは聞かない生徒でも、ペアの相手は大切にする。
  • 直後に解説をするが、ペア活動で分かるところと疑問点が意識されている。
  • すべての生徒が、1時間の中で3つの技能の練習を確実に行える。

など10項目をあげています。
 討論では、

  • どこで区切るかがけっこう課題になる。生徒によってはせいぜい3語くらいしかまとめて読めない。カナをふらないと読めない状況もある。
  • チャンクとチャンクの関係をどう結びつけるかが課題。
  • 意識の中で自力で分けられて、そのスパンをだんだん広げられるようになるのが目標。

などが話し合われました。

「後方照応」

 再任用1年目の熊谷高校2年生・英語Ⅱの授業。教科書は『ELEMENT』(啓林館)Lesson 4「A Window to Culture」のSlow Food, Slow Life。
 チャンクごとにスラッシュを入れさせながらコーラスリーディング。次にペアでチャンク訳(英→日)を頁ごとに交替で取り組んでから、分からないところチェック。
 第2ペアから、The Official Manifesto of the government goes: "Slow Food is now the only real answer. That is what culture is all about: developing taste rather than ignoring it. Slow Food promises a better future."のThatは何を指すか?という核心をついた質問。
 他のペアに尋ねるとthe only answerと答える。柳沢さんは、一緒に3つの可能性(Slow Food / real answer / developing)を示し考え、辞書を引き、ウィキペディアからの「後方照応」を示しました。
 授業が終わると数人の生徒がそれぞれの質問などを持って教卓に。その1人が「後方照応的という説明で良いと思う。僕は人生の半分が海外の帰国生だ」という一幕も。
 事前に柳沢さんから投げかけておいたので、同僚が指導資料から「原文」を見つけてくれた。教科書の編集やTeacher's Manualなどの問題があったようです。「原文」にあたることも大切ですね。

「The Sound of Music」

 柳沢さんは、皆さんに愛され、授業でもよく使われているこの映画を、玉川工業高校でも扱われました(その報告が『新英語教育』2012年8月号「教材のチカラ」に掲載)が、現任校でも取り上げました。DVDはチャプターで区切れるので授業にはとても便利。インターネットからスクリプトも入手しました。
 これまで4回、「大佐が子どもたちを笛で指図する場面」「歌2曲 "Sixteen Going on Seventeen" Sixteen Going on Seventeen'を表示します "Do-Re-Mi" YouTubeの'Do-Re-Mi'を表示します」「大佐の歌 "Edelweiss" YouTubeの'Edelweiss'を表示しますとダンスの場面」「マザーの "Climb Every Mountain" YouTubeの'Climb Every Mountain'を表示します を歌うまで場面、マリアの "Something Good" YouTubeの'Something Good'を表示しますを歌うまでの大佐とマリアの会話の場面」を鑑賞。字幕は英語。毎時間、セリフの穴埋めやいくつかの設問を入れたワークシートを準備。4回目の授業は9月20日で、ホットな報告となりました。
 生徒たちは早めにLL教室に集合してくる。画面とシートを交互に見たりと落ち着かないので、ワークシート先渡しは避ける。「座席自由」で画面に集中を目論んだが、途中で私語が聞こえる。前半が終わったところで指定席に戻し、シート配布(設問に気合が入ったA4判)して、集中力回復。柳沢さんは次のように分析しています。
 「この集中力はこの映画の持っている力であろう。音楽の力、愛する男女の心の交流に生徒は将来の自分の姿を重ねているのではないか。やはり教師の側で教育環境を整えることが大切だと思った。生徒もそれを望んでいることだろう。」
 私たちも "Something Good"の場面をゆっくりと鑑賞し、とても幸せな気分に浸りながら夕食交流会へと向かいました。

Ⅱ 講読「The Freedom Writers Diary」

 Diary 12 を読みました。御供さんの担当でした。

 Ms. Gの授業で読んだDurango Street クリックするとAmazonで、該当の書籍のページを開くことが出来ます。の主人公Rufusと同じような実体験が語られている。日記の著者が中学生のとき、3人のwana-be-gangstersに目をつけられました。3人とも自分よりデカイやつらだった。

 When I felt the rush of air from his fist whizzing mast my face, I went crazy! I started kicking him in the head! The only thing that made me stop was when I saw his eyes roll back in his head as though he was dead. -略-
 The police took me to the vice principal's office to make a report. The vice principal called my parents to come to the school and pick me up, but no one was home.

 この辺りは、担任や生活指導係りで「非行生徒」を引き取りに行った経験を思い出す者も。
 結局、juvenile hallに入れられて、恐ろしい5日間を過ごした。
 I was unlike any of the people surrounding me. Caged like beasts were murderers, rapists, gangsters, and robbers. The first night was the scariest. I heard sounds I had never heard before. Inmates banging on walls, throwing up their gang signs, yelling out who they are and where they are from. I cried on my first night.
といった具合だった。
 その2週間後に裁判がひらかれ、3年間の保護観察、1ヵ月半の社会奉仕活動、怪我を負わせた相手には1500ドルの賠償という裁定が下された。

(加藤彰男)



日時: 2012年9月23日(日)14:00 ~ 17:00
場所: 前橋プラザ元気21 4階・40スタジオ
<いつもの5階ではありません。お間違えなきよう。>

前橋市本町2-12-1
「中央公民館(前橋プラザ元気21内)」
Tel 027-210-2199

※JR前橋駅から徒歩10分

(別のウインドウを開き、より大きな地図で 前橋プラザ元気21 を表示)
※北側の道路を挟んですぐ向かいの立体駐車場他、指定の駐車場があり、参加者は無料で利用できます。(上の地図の緑色の箇所) ただし、北隣の駐車場は、時間に余裕を持たないと入るのに時間がかかる場合があります。
内容:
14:00~15:00 講読「The Freedome Writers Diary」
Durango Street表紙  p.24 Diary 12から読みます。
  • *7-8月はお休みでしたので、Freedom Writersの1年次(94年)の日記があと3つ残っています。暴力や拳銃の問題が書かれています。
  • *分担を決めて読んでいます。テキストのない方でも大丈夫! お気軽にご参加ください。

15:00~17:00 実践報告
「この3年間、埼玉の3つの高校で教えて」
柳沢民雄さん(埼玉・高:全国新英研前会長)
  • *BSプレミアム「Freedom Writers」のメール交流がきっかけで群馬例会に参加されるということ で、実践報告もお願いしました。中堅校・困難校といろいろな実践に取り組んでいらっしゃいます。For what to teach・What to teachと How to teachを結び付けて学び合えるといいなあ…と思っています。
交流会:
18:00~20:00 夕食交流会
  • *柳沢さんを囲んでささやかですが、ちょっと食べて・飲んで交流しましょう。
  • *皆さんの夏休み中の「お土産話」も交流したいと思います。
  • *会場は中華料理「金鳳・大手町店」(Tel. 027-210-6480)を予定しています。会費は1500~2000円ぐらいです。
連絡・
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(2012年7月3日掲載/11月19日更新)