新英語教育研究会 第46回 全国大会(東京大会)
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笑いと平和とことばと人間
    実行委員会委員長 阿原成光

1.「憲法」を生かす 自主独立の英語教育を! 1959年に始まった新しい川の流れ

 大河の一滴は「米英の受け売りでなく、日本国憲法を生かす、民族の課題に応える外国語教育とは何か」の問いでした。時は「勤評は戦争への一里塚!」を合言葉に国民的大連動になった「勤務評定反対運動」の翌年で、任命制教育委員会のいいなりになる教師づくりが始まり、学習指導要領は法律の一部として固定化され、教育の国による管理体制の強化が始められた1958年の翌年でした。
 当時はオーラルアプローチ全盛の時で、パタン、パタンと何やら英語の授業で音がする、と冗談が出るほどでした。かく言う私も、当時学生で、全国教育系大学教育研究ゼミナール(全教ゼミ)の外国語分科会の責任者でしたが、テーマを「オーラルアプローチによるミニマムエセンシャルズの設定」として、これですべての子どもたちの笑顔を作れると夢中でした。1960年東京下町の中学校の英語の教師になった年、隣の中学校にいた田中安行さんと第10次東京都教職員組合数研集会に正会員で同じテーマで参加しました。ちなみに田中さんのテーマは「GDMによる英語の授業づくり」でした。
 その会場に新英語教育研究会を創立したばかりの初代会長井上正平がギロッと目を光らせて、「それでいいのかい、それじゃあ、問題は解決しないよ」と言っているようでした。何も評価されなかったのでがっかりして、しばらく新英研から遠ざかっていました。
 しばらくして、今はない目白の「うずら荘」で新英研草創期のメンバーが行っていたヴィゴツキーの『思考と言語』の読書会に誘われました。この読書会が日本の英語教育の新しい流れを創りだしました。「外国語教育の4目的」論、教材論、学習集団論、自己表現論、などなど英語教育の新しい流れは、はじめはチョロチョロでしたが、いまは少し大きな川の流れになっていると思います。そして、1981年の「中学校英語週三時間に反対する運動」では大きな力を発揮して、1991年から週四時間でもいいという勝利を勝ち取りました。

2.東京大会の会場は「清泉女子大学」

 小学校に英語教育を何の十分な準備もなしに免許のない学級担任に授業の責任をもたせるという大変なことが始まろうとしています。
 これではますます英語教育は「差別選別格差拡大固定化」の道具にさせられるでしょう。これは大問題です。少しでも英語嫌いをつくらないためにできることを考える必要があります。東京大会は、このような非常時に開かれます。
 大会の会場は、東京のど真ん中、品川、大崎、五反田に近い元島津侯屋敷跡で、篤姫ゆかりの素晴らしい清泉女子大学です。映画の撮影に使われるという優雅な建物やお庭のある大学です。同大学院地球市民学科教授ケティ・松井さんに実行委員会に参加していただき、大学側の全面的なご協力を頂き今準備が進んでいます。
 メインテーマは「すべての子どもに外国語を学ぶ喜びと平和な未来を聞く力を!」
 サブテーマは「笑いと平和とことばと人間」楽しくて、元気が出て、からだとこころが動き出すようなすてきなみんなのお祭りにしたいと実行委員会は張り切っています。きっと楽しくて、喜べて、なんだか生きていることが嬉しくなって、人間っていいなあ!と思える大会にしたいと思っています。よろしく!
このページは、雑誌「新英語教育 2009年1月号」の「現地だより」から、転載をしたものです。
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