■ 関西ブロック研究集会

2004年

2004年 新英研関西ブロック合宿研


 1月5日(月)6日(火)に大阪・上本町のアウィーナ大阪で新英研関西ブロック合宿研が開催されました。参加者41名。新春の和らいだ雰囲気の中、京都の奥西先生が「関西ブロックは全国に講師を送り、流れを作り出していて、新英研の本流と自負しています」と開会あいさつをされました。

<記念講演>
「『英語が使える日本人』の育成のための戦略構想・行動計画」を問う」

江利川春男(和歌山大学教育学部)
  まず、教育の場に「戦略」はおかしいという素朴な疑問から始まり、「戦略構想・行動計画」は子どもたちのためでなく、財界のグローバル戦略のためのものであるという根本問題をわかりやすくお話されました。英語教育の変質は中曽根臨教審時代から画策されていて、親英米国家を作り上げる役割を押しつけられているという問題意識は新英研と全く一致するものでした。「戦略構想・行動計画」は教育基本法改悪の内容的先取りで、英語教師を皮切りに教師全体に対する管理統制強化が目論まれていることを全教職員に知らせる必要があるとお話しされました。産廃処理場反対運動に関わっている経験から運動はしなやかにしたたかに進める必要があるとアドバイスをいただきました。参加者一同がうなずくばかりで、素晴らしい講演でした。

<実践報告①>「絵本The important book-大切なこと-を通して」

橋山芳子(滋賀・能登川高)
 この絵本のメッセージ「あなたにとって大切なのはあなたがあなたであること」を生徒たちに伝えたいと教材にされ、生徒たちはイメージを膨らませて自分の絵本を創作しました。参加者から「もっと詩を教材にしていきたい」という感想が出ました。

<実践報告②>「人生はサバイバル!」

琴塚朗(京都・修学院中)
 生徒に即し、生徒が楽しみながら頑張る授業の工夫をまとめた報告で、特に「毎日ノート」は予習と日記を合体させて生徒のやる気をうまく引き出しています。参加者から「高校へ進学した生徒が毎日ノートを続けている」という例が紹介されました。

<実践報告③>「学ぶって何だろう-暗記から考える勉強へ」

丸岡望(大阪・千代田高)
 学校全体が「KG(家庭学習)ノート」などに取り組んで、生徒たちの勉強に対する見方や考え方を変化させていく様子がよくわかる報告で、丸岡さん自身も英詩『わたしはひろがる』などのよい教材を扱い、自分をさらけ出す中で、生徒たちに素晴らしい自己表現をさせています。生徒たちは「勉強が成長させてくれる」「勉強が楽しい」と感想に書いていて、学習観の変化がうかがえます。

<実践報告④>「中学生が作った平和の歌が世界にはばたく」

長田寿和子(兵庫・湊中)
 広島の中学生たちが作った平和の歌『ねがい』を英語にして、インターネットにのせたり、国際教育機関で紹介したりする中で、世界中に連帯の輪がひろがっていく様子がよくわかる報告でした。コンサートを夏に広島で開催する取り組みもされていて、協力を呼びかけられ、参加者から賛同の声が多くあがりました。 <ミニ実技講座>「映画などデジタル教材の作り方」吉浦潤次(大阪・交野高)  さまざまなソフトを利用して、MD、CD、DVDなどにすぐれた教材を取り込むノウハウを教えていただきました。

 以上、いずれも新英研らしい、原則に沿ったしかも進取の気風に富んだ報告ばかりで、参加者一同たっぷり元気をもらいました。なお夜の交流会も大層盛り上がったことをつけ加えておきます。

<参加者の感想>

  • 新しいスタートに当たって背筋がピンと伸びるような内容でした。あらためて自分の教師としてのスタンスを確認できました。
  • 多忙化の中でもっと力量をつけたいと思う多くの教員の願いを逆手にとって、強制研修が行われているこのねじれた状況に果敢に闘えるのは新英研だと確信しました。

(連絡先:谷浦健司)
(2004年11月23日)

日 時: 2004年1月5日(日)12:30〜1月6日(月)12:00終了
会 場: ホテルアウィーナ大阪
内 容:
記念講演:
「文科省「『英語が使える日本人』の育成のための戦略構想・行動計画」を問う」
講師:和歌山大学教育学部 江利川春雄氏
その他
2日間にわたり実践報告(各県より)/お楽しみ講座など
宿泊費: 1泊2食 9,500円
参加費: 資料代も含め 3,000円
申込み : 長谷川和久

(2004年11月24日)