■ 九州ブロック集会

2003年4月

2003年 九州ブロック春の合宿研


 第48回九州民間教育研究雲仙集会が12月26日(金)〜27日(土)に行われた。

開会集会

 開会集会での記念講演は「宝の海を取り戻す論理と倫理」(長崎大学教授東陽一氏)、有明海の環境破壊が生態系に与える影響の大きさ、人間もその中に含まれるということが、豊富なデータにより語られた。

外国語分科会

 外国語分科会はテーマ「よくわかる楽しい英語の授業を目指して」の元に、 参加者26名(内2名はニュージーランド人)、7本のレポートがあった。活発な討論が行われた。

  1. 『オーラルIの授業をどう進めているか』(熊本 高校 畠田ミツ子)
    オーラルIで、教科書の例文を元に、ペアワークによる暗誦や、show and tell形式でのスピーチ発表で自己表現能力を高めたという実践。
  2. 『わかるから楽しい英語の授業を目指して』(長崎 高校 鈴木奈尾子)
    単位数が少ない工業高校の定時制において、語彙の充実のために行った連続小テスト(1枚の紙に連記、優秀賞あり。)や自作プリントによる実践。
  3. 『英語の授業の中で人権・同和教育を』(福岡 高校 白水堅慈)
    同和教育の副読本「かがやき」に載せられている「こどもの権利条約」から抜粋した英語クイズをパワーポイントで呈示し、授業で使用した実践。語学教育から発展させて、総合的な人間理解に結びつく高度な次元の実践だという賞賛の声があがった。
  4. 『よくわかる楽しい授業をもとめて』(福岡・中学:井塚、吉野、糸山)
    2.3年生の選択授業で行われた少人数授業の報告。習熟度別編成はあえて取らずに、生徒の自主的選択によってコース分けで、ていねいな指導を通じて学力向上を達成した実践。
    ワークショップ形式の発表で、参加者も3年生のコースを体験したが、タスクを達成して褒められることの快感が実感できた。その他、折り鶴アート製作、修学旅行での平和メッセージ交換、町の紹介ビデオの作成など盛りだくさんな実践が紹介された。
  5. 『「生徒とつくる授業」を振り返って』(長崎 中学校 中村智子)
    数年間の自己表現活動の集大成の報告。普段からペアや4人グループによる活動を行い、skit発表へと発展させていくという指導を行っている。座席にまで配慮したり、聞く側が集中するように設問をつけたりと、苦労して行っただけに質の高い実践である。時間の獲得が困難と言う悩みも語られた。
  6. 『創造的な授業をめざして』(長崎 中学校 松本和博)
    自己表現活動としての5行詩、修学旅行の思い出の英作文、平和を題材とした、「ガンジー」や「100人の村」、「イラク攻撃反対の大統領への要望書」などの自主教材が紹介された。小・中併設の小さな学校での実践であったが、生徒の内面の成長を促す意図の感じられる実践であった。
  7. 『人吉、球磨から世界へ、反核平和のメッセージー長崎原爆絵巻 崎陽のあらしー』(熊本 高校 柳原三男)
    熊本出身の被爆者の遺した絵巻物を出版した報告者が、最近、英語訳つきで再版にこぎつけた。平和への願いが痛切に感じられる書であるとともに、被爆体験の資料として貴重である。 

 新英研のテーマとしては、文部科学省との相違点をもっとはっきり出すべきだ、という意見が出された。とりあえず「生徒のかがやきを大切にする外国語教育」というテーマを呈示して、今後検討していく予定。

閉会行事

 閉会行事での特別講演「『ふたたび被爆者をつくるな』について考える」(長崎原爆被災者協議会事務局長 山田拓民氏)では、原爆の事実を風化させないために、米国に対する謝罪要求をしていること、アメリカ講演で、その趣旨について賛同の拍手が得られたことが、感動的に述べられた。

( 文責・鈴木 )
( 連絡先:緒方智子 )

と き: 2003年12月26日(金)〜27日(土)
ところ: 雲仙(雲仙メモリアルホール、ホテル東洋館、有明ホテル、湯元ホテル)
記念講演:
1日目
東幹夫(長崎大教授)
「宝の海を取り戻すための論理と倫理」
2日目
山田拓民(長崎原爆被災者協議会事務局長)
「『ふたたび被爆者を作るな』について考える」
夜の交流会: 映画「アイラブピース」(予定)
平和を語る集い「前高校生平和大使 草野文興さんのお話」
地酒を楽しむ会
普賢岳噴火災害 等
連絡先 : 長崎県民教連事務局 小石護