■ 東海ブロック集会

2000年

2000年 東海ブロック合宿研究集会


 2000年1月5日(水)13:00〜6日(木)12:00、伊勢市山田館にて。参加23名。そのうち1名は、兵庫県からの参加。

講演「子どもから学んだこと、子どもに伝えたいこと〜自己表現と平和教育を中心に」

山田清文先生(愛知・中学)
 「バリアフリーの教育」というのが皮肉にも今の子どもの実態を表す言葉である、つまり、好き勝手な時間に、教室に自由に出入りする生徒が何人かいる。
 そんな生徒も、”(ダブルクォーテーションマーク)をダブルピリオドと答えるように、どこかで聞き耳をたてている。 そんな子どもは、普通、自分の生活を隠すのに、自己表現は自分を隠さない、自己表現は、「英語の生活綴り方」だと思う。
 「ごく短い、時には幼稚な英文の中に彼や彼女の思いが凝縮され、生活が滲み出ている。
 そして、作者と私との対話が深まる。生徒の書いた自己表現文を通して、生活指導、学級指導にまで発展させられる」と山田先生は確信されています。
 低学年から新しい文型で可能な限り自己表現の実践をされ、また、新聞の記事から不定詞を探させるなど、「工夫次第で、生徒は乗ってくる、昨日(4日)も新しい歌を新学期どうするか、準備していた」とのこと。
 山田先生の新採37年前の、あるいは、新英研との出会いの27年位前の新鮮な感動を髣髴させる講演でした。
 もちろん同時に、総合的学習に対して、新英研はすでに、自己表現平和、環境、人権、福祉などの分野で先駆的に自主教材を開発し、他教科との連携で十分に対応できると卒業生の手紙を交え、新指導要領への建設的な対論を提起されています。

実践報告


「いつでもどこでも自己表現を」

枝村泰代先生(静岡・広幡中学校)
 各学年の小さな、中くらいの、大きな自己表現活動の実践報告。

「平和ー学習から発信へ」

粕谷たか子先生(静岡・島田商業高校)
 原爆・核問題について事前のアンケートをとる、この時国語教科との連携が生まれる。教科書、中学の教科書教材投げ込み、NHK「サダコ・ヒロシマの少女と20世紀」を見て、感想文、それらをクラスで紹介。Peace Letterを完成。
生徒の中にペンパルから返事を得るなどの発展がある。

「生と一人一人が生き生きと学習する姿をめざして、英語劇のこころみ」

座馬惇子先生(岐阜県・岐阜盲学校)
 勤務校での全く学力・視力障害の程度が違う生徒たちが、どのように過去4年間英語劇に取り組んだかの報告。
 ”Little Red Riding Hood", "Three Little Pigs"、"Beauty and the Beast", "William Tell"
 100余年の歴史を持つ盲学校だが、劇を発表する舞台が無く、3階の按摩実習室にアコーディオンカーテンを文字通り、幕に使い上演。ビデオにて、"William Tell"の発表の様子を私たちも観賞できました。リンゴをテルが矢で射るところ、背景の紙の書割から矢の付いたリンゴと取り替える工夫がしてありました。
 全盲、弱視いずれも、自らの仕草が確認できない視覚障害である点に座間さんが触れられ、さらに、生徒は未熟児網膜症の発症がなくなり、減少しているが障害が重複する生徒が増えているなど、現状の報告もありました。次年度の脚本探しがもう始まっています。
よい脚本がありましたら、ぜひ、座間先生にお知らせください。

1年生で教科書の題材を使ったオーストラリアの紹介

浅野和子先生(岐阜・神戸(ごうど)中学)
 1年生で教科書の題材を使ったオーストラリアの紹介など実践報告。模造紙の左右あるいは上下に写真・イラストと英文の説明、そして、語句の説明を工夫したもの。
 英作では、自分の知っている言葉で、いろいろなマークを説明する実践。
 また、三年生が神戸町や隣接する揖斐川町に在住される2名の広島被爆体験者の話を聞く集いに取り組まれた話をききました。

「飯野高校での日頃のとりくみ」 -三重県の英語関連学科からのレポート-

藤田賢先生(三重・飯野高校)
 1974年昼間二部定時制高校から、87年応用デザイン科、英語科の2学科併設、97年には、定時制閉校。英語科としての変遷、そして、99年から英語コミュニケーション科として通年の行事、カリキュラムなどの詳細な報告、ビデオの視聴、その後、授業の実践報告。

「効果的な語彙指導法をアクションリサーチする<序章>」

安井貞夫先生(愛知・豊田東高校)
 「効果的な語彙指導法をアクションリサーチする<序章>」という語彙指導に関係する25冊もの綿密且つ体系的な文献解題。おそらく今市販されている語彙の文献はすべて網羅されているのではと思うほどの選書ぶり。
 なかでも、seniorの現代英語データ2019例中でbe senior toの用例は1例のみという事実で「学校文法」「受験英語参考書」の批判をこめています。
 愛知西三河地区の支部例会の様子は当MLでは村瀬敏浩先生が毎回報告されています。今後、安井先生の語彙指導の本論がMLでも発表されるものと期待しています。

"Let's make a skit." ―Recitation Contestの実践を通して―

佐々木美香先生(愛知・鳴海中学)
 名古屋支部はほぼ定期的に例会をもたれています。その典型実践例。
 資料21を含む「英語学習の楽しさを味わわせながら、学習意欲を高め基礎学力を定着させる授業」を報告してもらいました。
 最小の努力で最大の効率を得る実践という教師なら誰しも望むもので、発表は過激にも、三友社さんに「市販の書き込み用紙を含むドリルがほしい」という要望にまで発展する一幕もありました。
 私も、生徒の名前を初めから印刷した文型練習ドリルをクラスに回して完成させるなど、「真似」実践したい「合理的」な実践報告でした。
(このページは、三重・岡邦雄先生の新英研MLでの投稿を一部書き換えて、転載させていただきました。)